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症例紹介

不妊 人工授精4回、体外受精1回するも結果出ず。

【症例132】 36歳、 女性
身長161cm、体重59㎏ ぽっちゃり型

症例キーワード: 不妊

主訴

不妊。体外受精4回失敗し、体外受精にステップアップしたが結果出ず。着床しやすくするためには体質改善が必要と考え、漢方治療を希望。

全身症状
寒熱 冷え性(+)
二便 大便:2日/行。便秘しやすい。
小便:5~6行/日。
飲食 食欲(平)、氷食歴あり
全身 朝は弱いほう。白血球5450、赤血球380、鉄80、フェリチン32
浮腫 なし
睡眠 良好
心神 気短(+)
月経 周期(26~30)、経期(5~6日)、経血(量:平~多、色:平)
舌質淡嫩、舌苔微白
血圧 116-69

経過・結果

【第1診~】

基本に鉄欠乏性貧血があるものと思われる。白血球、鉄、フェリチンいずれも基準値内であるが、フェリチンについては妊娠を前提とした場合、32は低すぎる。最低60は必要と考えている。おそらくは、いわゆる「隠れ貧血」に相当するのではないか。

子宮筋腫がないことから機能性の経血過多による貧血と思われる。気短・氷食歴は貧血を肯定する材料になる。

治療法はホルモンの調整と血液の充実、鉄の補給の3点である。病院の体外受精治療と並行して服用する。

処方1)芎帰調血飲第一加減(5.0/7.5g)+四物湯(3.0/6.0g)+亀鹿二仙膠(4.0/4.0g)+正気天香湯(3.0/7.5g) 分2 

処方2)溶性ピロリン酸第二鉄(鉄として10mg)×適量

【結果】

処方1)、2)を3ヵ月ほど服用の後、2回目の体外受精にて成功せり。

考察

2回目の体外受精で成功した例である。漢方薬との併用があって成功したのか、あるいはなくても成功したのか、それはわからない。
一応、漢方薬が貢献できたという前提で考察してみたい。
不妊治療を考える時、どうしても「ホルモンの調整」、「卵子の充実」などに目がゆき、「血液の充実」がおろそかになりがちである。「血液の充実」も非常に大切である。
「血液の充実」とは具体的には鉄欠乏性貧血の治療である。赤血球、ヘモグロビン、鉄などが基準値内でも実際には貧血が起こっていることがある。これがいわゆる「隠れ貧血」である。それを探り当てるためにはフェリチンの値が必要である。更にはその評価が大切である。おおむね女性の基準値は10~160ng/mlである。そうなると本案のフェリチン32は貧血とみなされない。しかし実際にはこの基準値(下限)は妊娠を前提とした場合は低すぎるように思う。妊娠を考えた場合、フェリチンは最低60、理想は100ng/mlである。『うつ・パニックは鉄不足が原因だった』には「欧米では、フェリチン値40以下の女性は、妊娠を控えるように指導されます。鉄の重要性を認識しているがゆえ、鉄不足では妊娠・出産に耐えられないとみなされるのです。」とある。

不妊のあらまし

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