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症例紹介

ひざ痛

【症例12】 63歳、 女性
身長150cm、体重70㎏。肥満型。

症例キーワード: ひざ痛関節痛

主訴

 数年前から。右膝の裏側の筋が突っ張ったように痛み、曲げ伸ばし、特に伸ばす時に突っ張って痛む。また、仕事がずっと立ったままの作業のため夕方疲れてくると膝が固まったようになり、歩き出す時が非常に痛む。椅子に腰掛けている限りは痛みは起こらない。陰天悪化・夜間悪化いずれもない。入浴後改改善もない。その右膝関節を触ってみるとぶよぶよと浮腫状にある。熱感・圧痛はいずれもない。また心疾患もない。実は当薬局に来る前にある整形外科にて防已黄耆湯、越婢加朮湯、薏苡仁湯など服用したがいずれも効果なかったという。

全身症状
寒熱 下肢冷の傾向。冷えのぼせない。
二便 大便:1日1行
小便:1日10~行。量少
飲食
浮腫 全身的にぶくぶくとしたいわゆる「水ぶとり」タイプ。
上半身、特に顔に多く出る。
色白
舌質淡、瘀点あり。舌苔微白。
皮膚 あざが出来やすい。

経過・結果

第1診

 全身及び患部の浮腫・体型・尿不利などから、この膝痛に湿が関与していることは間違いないと思う。ポイントとして痛みが関節内でなく膝の裏の筋脈にあることが挙げられる。つまり膝関節内の湿による病変であれば防已黄耆湯、越婢加朮湯、薏苡仁湯のいずれかが多少は効いているはずである。ところがいずれも無効ということは、この痛みは関節内の湿でなく、関節を取り巻く筋脈に停滞する湿によるものと考えるべきであろう。また発症以来時間を経ていることから血瘀の関与も当然考えなければならない。そこで祛湿舒筋、活血化瘀をはかるべく

処方1)疎経活血湯足疼加減を14日分投与

疎経活血湯足疼加減
桃仁3.0、牛膝2.0、当帰(酒洗)3.0、川芎(酒炙)2.0、芍薬(酒炙)3.0、地黄(乾)3.0、竜胆2.0、羗活2.0、白芷1.0、防風2.0、威霊仙2.0、茯苓(朝鮮)3.0、蒼朮(泔泡)3.0、防已2.0、陳皮2.0、乾生姜1.0、甘草(炙)1.0、黄柏2.0、木瓜4.0、木通2.0、薏苡仁5.0。

第2診

14日服用後、少し膝が伸びるようになり、夕方の「膝の固まり」も軽くなったようである。少なくとも防已黄耆湯等よりは効いている。また処方1)を服用してから尿の量が増えたという。そこで処方1)を今度は28日分投与。結果、膝裏面の突っ張った痛み、膝の曲げ伸ばし時の痛み、夕方の「膝の固まり」などかなり良好とのことである。そこで服用に便利なエキス散の疎経活血湯に変更し、現在も再発防止のため服用中である。

考察

 およそ膝の痛みについては、膝関節そのものの痛みと、関節の裏面あるいは膝関節上部から大腿前面にかけての筋脈の突っ張ったような痛みとを分けて考えるようしている。前者は膝関節の圧痛・熱感・浮腫を伴うことが多い。防已黄耆湯、越婢加朮湯、麻杏薏甘湯、薏苡仁湯などを単独あるいは合法として用いている。ただ、関節軟骨の磨耗が甚だしい場合はもはやこれらの処方は無効で、ヒアルロン散やコンドロイチンなど軟骨補充剤を用いなければならない。一方、後者の場合、膝関節そのものには圧痛等ない。今回の疎経活血湯足疼加減は『万病回春』の疎経活血湯の方後の加味法に従った。また、矢数道明氏は疎経活血湯の体型の特長について『漢方治療百話』において「…私は本方(疎経活血湯)証の標準を、多く青ぶくれした婦人においているのであるが…」と述べておられる。今回の患者の場合、ぶくぶくとしたいいわゆる水ぶとりという非常に特徴的な体型であり、矢数氏の口訣とも一致するものと考え最終的に決定し、結果、効果を得た。

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