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症例紹介

病院でホルモン療法をすすめられたが、ホルモン療法に抵抗を感じて相談

不妊、流産癖

【症例24】 29歳、 女性
身長164cm、体重53kg

症例キーワード: 不妊

主訴

結婚3年になるが妊娠しない。病院の診断では右卵巣が腫れているとのことで右下腹部の引きつれる痛みが常にあり、また子宮内膜症もあるとのこと。病院でホルモン療法をすすめられたが、ホルモン療法に抵抗を感じ、漢方治療を希望して来局。
基礎体温表は2層に分かれるものの排卵後高温期への移行に日数(4日ほど)がかかり、その結果高温期が短い。また、高温期の上がり自体も弱い。

<現病・病歴>
胃下垂
膀胱炎を起こしやすい。
<併用薬>
エスタックイブ(月経痛)

全身症状
寒熱 冷え性
二便 大便2~3日に1回
小便1日10回(無色透明)
飲食 少ない
全身 疲れやすい。特に朝が弱い。
月経 周期(29日)、経期(7日間)、月経痛(開始1日前から痛みはじめる。下腹部~腰。激痛⇒エスタックイブ使用)、経血は暗赤色でレバー様の塊を多く交える。
舌質:淡・胖、舌苔:白
血圧 100~60

経過・結果

第1診

10/11

右下腹部の痛み・子宮内膜症・月経の状態から「血瘀」、疲れやすさ・胃下垂・舌の状態・低血圧から「気虚」、冷え性・高温期の未発達から「陽虚(ようきょ・体の冷えた状態)」と判断。これら三つが複雑に絡み合い不妊の原因となっていると思われる。そこで血瘀を取り除き、「気虚」を補い、「陽虚」を温めるべく

処方1)芎帰調血飲第一加減+補中益気湯+五積散を用いることにする。

芎帰調血飲第一加減(エキス散)5.0g/7.5g+補中益気湯(エキス散)6.0g/12.0g+五積散(エキス散)4.5/9.0g 分2×28日分

第2診

11/11

月経痛(↓↓)、下肢冷(↓)、食欲・元気(↑)

以後処方1)を継続服用~

第3診

翌年6月

妊娠確認。来年3月出産予定。安胎のため漢方薬を上記処方から処方2当帰芍薬散+補中益気湯+香蘇散に変更。

処方2当帰芍薬散(エキス散)6.0g/9.0g+補中益気湯(エキス散)6.0g/12.0g+香蘇散(エキス散)2.0g/6.0g 分2×14日分~

翌々年3/15、普通分娩にて出産。男児・2300g。その後、出産時の血瘀を残さないために処方3芎帰調血飲第一加減を100日間服用。

考察

 治療開始から妊娠にいたるまで8ヶ月弱という比較的長い時間を要した例である。子宮内膜症という器質的病変がある場合はどうしても時間がかかるようである。今回のような「血瘀」、「気虚」、「陽虚」といった病変はいずれも不妊に比較的多く見られるパターンである。このほかにも「腎虚」(初潮が遅い)、「ストレス型」(基礎体温表がジグザグ)、「無排卵型」など様々である。これらを正確に分析し、適切な漢方薬を選択することが大切である。
ホルモン治療になじめない方々は実際のところ多い。そのような方々の受け皿のひとつとして漢方薬は有効であると思う。

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