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症例紹介

産後のだるさ

【症例59】 36歳、 女性
身長165㎝、体重48㎏。子供一人

症例キーワード: 不妊

主訴

第一子出産後二年たってもつづく顕著なだるさ。二人目もほしいので、それに向けて体力を向上させたい。
子供は2歳半。今も朝夕授乳している(月経が再開しているのでたぶん母乳は出ていないのではないか)。
だるさは朝と夕方に顕著になる。だるくて夕食の準備ができないことも多い。食事は朝・昼・夕それぞれ質・量ともに十分に摂っているつもり。

全身症状
寒熱 冷え症なし
二便 大便:1日1行
小便:1日6~7行
胸腹 胃痛腹痛なし
浮腫
睡眠 眠りは浅く熟睡感ない
頭痛なし
月経 周期(29日)、経期(6日間)、経痛(始まる前に少し)、経血(量はすこし減っているかも)、血塊(経痛時に少量)
面色萎黄
舌質淡・嫩・胖・有歯痕、舌苔微白
血圧 118/79

経過・結果

第1診

出産後の変調としてとらえ芎帰調血飲第一加減を基本に用いる。疲労倦怠が強いことから、芎帰調血飲第一加減と相性の良い補中益気湯を併用することにする。食事は十分とれている様子であるが、おそらくは食べたものが栄養に変わらないのであろう。黄耆剤の奏功する体質の目標の一つに「能食而無力(よく食して無力)」がある。更に直接栄養を入れることとし、しばらくアミノ酸を併用してもらうことにする。

処方1)芎帰調血飲第一加減(エキス散)5g/7.5g+補中益気湯(エキス散)8/12g 分2×14日分
処方2)アミノ酸製剤 適量

第2~5診〜

服用10日後、来経。経血量増加し色もきれいになった。体力向上。家事ができるようになってきた。夜もよく眠れる。処方1)、2)服用2か月後、妊娠したとの連絡あり。そこで処方1)を中止するよう指導。

考察

産後のだるさは虚実錯雑としている。よって芎帰調血飲第一加減のような薬味の多く守備範囲の広い処方が適合する。ただ、妊娠後は内包される紅花・牡丹皮・桃仁などが障る恐れがあるので妊娠確認後は速やかに中止しなければならない。

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