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症例紹介

左右鼻翼基部の湿疹

【症例125】 64歳、 女性
身長157cm、体重61㎏、大柄、やや肥満気味

症例キーワード: 湿疹

主訴

左右鼻翼基部の湿疹。
湿疹はほぼ左右対称、紅色、湿潤、1~2mmほどの黄色膿疱2個あり。軽い掻痒あり。発症は2か月ほど前から、原因不明。顔のほぼ中央部の発疹なので目立ってしょうがない。何とかしてほしい、とのこと。
<使用薬>
ワセリン
<病歴>
子宮内膜症
耳石めまい
過呼吸
咳喘息

全身症状
寒熱 下肢は冷える傾向だが冷え性というほどではない。冷えのぼせ(−)
二便 大便:1日1行、快便
小便:1日6~7行/日 夜間(0行)尿色平、尿量平
全身 疲労倦怠(−)、風邪はいつも咽痛から始まる。微熱も出やすい。
浮腫 下肢に少し
睡眠 良好
右側扁桃が腫れ痛んで発熱しやすい。このとき薄い白い膜が張り付いていることしばしばあり。
右の肩こりからくる頭痛あり
目・耳・鼻 良好
暗黄色
舌質微紅、舌苔無
皮膚 頭皮湿疹あり。2~3mmほどの発疹、痒くてかくとフケ様痂疲が付着する。

経過・結果

【第1診】

鼻翼基部は、いわゆる「脂漏部位」に相当する。また頭皮も同じく脂漏部位である。両者に発疹が出ていることは、おそらくは脂漏性湿疹の亜型とみてよいと思う。慢性の扁桃炎も根底ではつながっていると考えられる。脂漏性湿疹に対応すべく十味敗毒湯、更に膿疱を伴うことから薏苡仁を配合する。

処方1十味敗毒湯エキス2/6g+薏苡仁エキス4/6g 分2 ×7日分

【第2診】

服用2日後膿疱が大きくなり自壊、こののち急速に発赤は小さくなり、1/3くらいに縮小。

処方1) do. ×7日分

【第3診】

ほぼ横ばい。

処方1 do. ×7日分

【第4診~】

発赤悪化。それでも発赤面積・痒みの強さ、いずれも服用以前ほど悪くはない。脂漏性湿疹の根本治療は長期を要する旨を伝えおく。

処方1 do. ×14日分×8回

【第13診】

ほぼ、湿疹消失。今後1日1包に減量。状況を見て廃薬の予定。

 

考察

脂漏部位の湿疹、および背景の慢性化膿性病巣を考えると十味敗毒湯は適切と考えられる。更にこれに膿疱を伴う場合、定石的には桔梗石膏または薏苡仁を加味して用いる。前者は皮膚炎症が強く膿汁の粘稠のもの、後者は炎症がさほど強くなく膿汁の希薄・多量のものに用いる。本案では皮膚炎症が強くなかったので薏苡仁を選択した。
 脂漏性湿疹はその治療に長い時間を要することが多く、おおむね6ヶ月~1年~ほど。本案では幸いにして4ヵ月ほどで略治状態に至った。また服用中、扁桃咽痛は起こっていない。これは処方1)が扁桃の化膿性病巣の改善に寄与できていたためではないだろうか。

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