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症例紹介

手根管症候群

【症例150】 53歳、 女性

症例キーワード: 関節痛

主訴

手根管症候群(親指・人差し指・中指の痛み・しびれ)。
左右とも。現在、整形外科にてステロイド局所注射を受けているがはかばかしくなく、解放手術を勧められている。夜間悪化、入浴後改善あり。また手指を酷使すると悪化する。
発症は9か月ほど前、きっかけ不明。

全身症状
寒熱 下肢は冷える傾向にある
二便 大便:1日1回
小便:1日6回(夜間0回)
飲食 良好
婦科 現在2~3か月ごとの月経。45歳の時、子宮内膜増殖症にて内膜搔爬手術(この手術ののち原因不明の膝・腰・首の痛みが半年ほど続いた。)  
全身 倦怠無力(なし)、容易感冒(のどかぜ)

経過・結果

1

手根管症候群ということで型どおり疎経活血湯を用いることにする。

処方1) 疎経活血湯(OTC、4T×3回) ×1瓶(14日分)

2

全く改善ないという。また、今回は手指を酷使する機会が多かったからかもしれないとのこと。とりあえずもう一瓶服用していただく。

処方1 do.  ×1瓶

3

やはり改善ないという。

再考。

手指の酷使が影響しているのかもしれない。手指の酷使は「局所性の血虚」と考えてみる。血の筋・腱に対する滋養作用が追い付いていないのではないか。そこで四物湯を併用することとする。

処方2 疎経活血湯(エキス散4.0/7.5) +四物湯(エキス散3.0/6.0) 分2 ×14日

【第4診】

漢方薬服用以前の状態よりより悪化した。痛み(++)、しびれ(++)、こわばり(+)むくみ(+)。

再考。

四物湯で悪化するとはいったいどういうことか?

全身症状を再確認。子宮内膜増殖症の履歴に注目する。子宮内膜増殖症はエストロゲンがプロゲステロンの拮抗作用を受けない状態(unopposed estrogen)、いわばエストロゲンの暴走で発症する。子宮筋腫、子宮内膜症と同様にエストロゲン依存性疾患であり、漢方的には血瘀である。搔爬手術をしたもののその強い血瘀体質は残存しているだろう。以下仮説であるが、ご本人は現在閉経になりつつある状態であるが、まだエストロゲンは出ているであろう。あるいはエストロゲンに反応しやすい体質の可能性もある。そして、ひょっとしたら四物湯がエストロゲンを刺激し、それにより手根管症候群が悪化したのではないか・・・。つまり、本案における手根管症候群の病毒の発生起源は手指そのものではなく、子宮の血瘀が手指に波及して発症したものと考えることはできないだろうか。このような考えの元、エストロゲン依存性疾患の治療に用いる基本処方である桂枝茯苓丸を疎経活血湯に併用することとする。

処方3) 疎経活血湯(エキス散4.0/7.5)+桂枝茯苓丸(エキス散3.0/6.0) 分2 ×14日

【第5、6診】

服用5日目にして痛み・こわばり・むくみは消失。ただし、しびれは変わらず。

もうすこし続けてみる。

処方3 do. ×14日×2回

【第7診~】

痛み・こわばり・むくみはない。しびれは、体感として30~40%ほどに改善。

現在も服用継続中。

 

考察

〇手根管症候群の原因として先に①手首の酷使によるもの、②手首の骨折などの外傷性のもの、③糖尿病・痛風・甲状腺機能低下症などの代謝性・免疫性のもの、④妊娠・出産・閉経をきっかけにおこるもの、⑤原因不明を挙げた。⑤はおくとして、①~④は①②(原発性、一次性のもの。手首そのものに原因)、③④(二次性。手首以外に発生原因があり、これが手首に波及したもの)に分けられるのではないか。①~④いずれも漢方的には血瘀であるが発生の過程が異なる。本案は概ね④に相当し二次性と考えられる。
〇67歳という年齢を考慮すると現在エストロゲンの影響は考えにくく、手首の血瘀だけが残存したと考えてよいのではないだろうか。(結果、疎経活血湯だけで有効だった。)
〇疎経活血湯に四物湯は内包されているが同時に牛膝・桃仁といった駆血瘀薬が配合されているので、単純な四物湯の働きとは別物と考えるべきであろう。
〇疎経活血湯に桂枝茯苓丸を合方するという発想は前出の矢数先生の「瘀血の多いものには紅花を加え、あるいは他に駆瘀血剤を兼用する」を参考にした。

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