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症例紹介

激しいイライラ

【症例175】 62歳、 女性
体格普通くらい。しまった肉付き。

症例キーワード: 02.更年期障害婦人病

主訴

激しいイライラ。
介護職で老人ホームに勤務。日々の業務で高齢者(時に認知症患者)のお世話をする時、意思の疎通がうまくゆかず発作的に激しいイライラに襲われ、思わず手をあげたくなったことがしばしばある。今のところ何とか理性でコントロール出来ているが、今後もこれが維持できるか自信がない。大事にいたるその前に漢方で何とかしてほしい。同症状で抑肝散加陳皮半夏を半年ほど服用したが無効だった。またこの激しいイライラ感は更年期のころから始まり今日に至る。
<服用薬>
イルアミクス(降圧薬)
スタチン(抗高脂血症薬)
フェブキスタット(尿酸降下薬)
マグミット(下剤)

全身症状
寒熱 四肢冷なし
二便 大便1日1回。ただし排便量少なく、硬い。
小便1日7~8回~(夜1回)。
飲食 食欲、飲水ともに平。
全身 疲倦乏力(少し)、容易感冒(-)、車暈(-)
睡眠 一晩に2~3回中途覚醒あり。
心神 上記以外でも些細なことでイライラしやすい。
平。
頭痛(-)。
胃腸 ストレスにて胃痛あり。
月経 45歳にて閉経。器質病変歴なし。
眼周囲が青紫色にくすんでいる。
舌質微紅、舌微白、舌尖部に瘀点あり。
四肢 肩こり(++)⇒毎週鍼灸院に通っている。

経過・結果

【第1診】

 病理構造は、激しいイライラが更年期以来であること・平素からのイライラ・不眠(中途覚醒)などから「気血の不調」、また便秘傾向・面および舌の特徴から「血瘀」、この両者が混在したものと考えられる。そこで前者に加味逍遥散合四物湯加香附子、後者に桃核承気湯を用いる。

処方1)

加味逍遥散(エキス散)4.0g/7.5g

四物湯(エキス散)2.0/6.0g

香附子末0.5g 

分2 ×14日分

処方2)

桃核承気湯(エキス散)1.5g/6.0g 

【第2診】

 著効あり。あれほど強いイライラが嘘のように落ち着いてきた。仕事中、多少の波はまだあるが以前ほどの衝動性は全くない。また便秘・肩こり・不眠も改善している。

処方1) do.  分2 ×14日分

処方2)  do. 分2 ×14日分

【第3診~】

 良好を維持。日常生活が安定している。こののちも処方1)、2)を服用継続。

考察

 この激しいイライラはとこから来たものか。おそらくは更年期のホルモンの乱れが62歳に至っても持続し、これが精神性に悪影響を及ぼしたのではないだろうか。このような際には加味逍遥散合四物湯加香附子が奏功する。この加味方は『橘窓書影』に収載されている逍遥散加地黄香附子を私なりに少しアレンジしたものである。桃核承気湯は便秘を伴う上衝性血瘀を目標として用いられ、イライラにもよく用いる。自家経験であるが加味逍遥散合四物湯加香附子と桃核承気湯との相性はすこぶる良い。

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