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症例紹介

更年期における頭痛・肩こり・目の奥の痛み

更年期における頭痛・肩こり・目の奥の痛み

【症例49】 50歳、 女性
身長153㎝、体重55㎏。子供二人。

症例キーワード: 更年期障害頭痛・肩こり

主訴

更年期における頭痛・肩こり・目の奥の痛み。ここ1年ほど強くなってきた。これらの三症状は、多くは同時に起こり、ほぼ毎日継続的で、月経前に顕著になる。頭痛は頭全体が締め付けられるような感じで、起床時に好発する。肩こりは、ストレッチ体操や入浴後に軽減するが、パソコンなどを長時間使用した時は顕著に悪化し、頭痛へ発展する。目の奥の痛みは頭痛が長引くと発症する。これまで病院で釣藤散、小柴胡湯合桂枝茯苓丸、柴胡桂枝湯合桂枝茯苓丸など都合一年ほど服用してきたが、いずれも無効であった。

<病歴>
流産2回あり

全身症状
寒熱 手足は冷え性で冷えのぼせあり。
二便 大便:毎日あり。
小便:1日8〜10行。
飲食
全身 倦怠感あり
浮腫 下肢(夕方)
胃腸 良好
目・耳・鼻 疲労時・ストレス時に白目の出血が起こることあり。
月経 周期(28日)、経期(不定4,5~10日)、経痛(-)、子宮筋腫あり(φ5㎜×2個)、経血量(平)、血塊(-)、貧血(-)
赤紫を帯びる
舌質老、舌苔微白
皮膚 アザができやすい
体型 見た目はがっちりとした感じで、腕の筋肉も十分な緊張あり。
血圧 121-78
脈拍 86/分

経過・結果

第1診

子宮筋腫・アザができやすい・白目の出血・面色赤紫・冷えのぼせ・月経時悪化・2回の流産歴などから基本に血瘀があり、これが上衝しておこった頭痛・肩こり・目の奥の痛みと考えられる。ただし桂枝茯苓丸(+柴胡剤)がまったく無効なことから桃仁・牡丹皮・桂枝(+柴胡)による駆瘀血作用では不十分であり、何か工夫が必要と思われる。そこで丹参・紅花と田七の組み合わせにより活血化瘀を図ることとし、処方1)冠心Ⅱ号方+田七末を用いる。

処方1)冠心Ⅱ号方(エキス散)4.0g/6.0g+田七末2g 分2×14日分

第2診

著効あり。3症状は本人感覚で20%ほどに減。ただし月経時にはまた元に戻る。

処方1)do. 分2×14日分

第3診

平素はほぼ良好。

処方1)do. 分2×14日分

第4、5診

月経前の悪化軽減、ただし目の奥の痛みは依然と残る。

処方1)do. 分2×28日分×2回

第6診〜

3症状すべて平素及び月経前後いずれも良好。

処方1)do. 分2×28日分~

考察

同じ駆瘀血剤でも桂枝茯苓丸(桃仁・紅花)と冠心Ⅱ号方(丹参・紅花)とでは微妙に効き目が異なる場合がある。理由はよくわからない。血瘀とにらんで桂枝茯苓丸でダメなら冠心Ⅱ号方といった具合でやっている。冠心Ⅱ号方は田七を併用することでその作用が向上するように感じている。この症例では桂枝茯苓丸が無効であることが予めわかっていたのでやりやすかった。「後医は名医」などいうが、なるほどと思う。

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