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症例紹介

夜尿症

【症例15】 10歳、 男性
身長142cm、体重38kg。

症例キーワード: 03.精神・神経科11.腎臓・泌尿器科12.小児科夜尿症

主訴

 間隔は2~3日に1回だったり、7日に1回だったりと不定。尿量も多かったり少なかったりと一定しない。以前、小建中湯を服用したが失敗時の尿量が増えたため7日で中止した。

全身症状
寒熱
二便 大便1日2~3行、下利しやすい。
小便1日4~5行、寒冷時は2回ほど増加する。
飲食 ともに平。
全身 疲れやすい。朝起きるのが苦手。
自汗の傾向。ときどき盗汗あり。
疲れたとき前頭部が痛む。
目・耳・鼻 アレルギー性鼻炎あり。
舌苔淡・胖大、舌苔微白

経過・結果

第1診

特にこれといった特徴がない。とりあえず、朝が弱いことと・下利しやすいこと・盗汗などから、気虚のため固摂作用が低下して起った夜尿症と考え補気固摂すべく

処方1)補中益気湯を14日分投与。

補中益気湯
黄耆(蜜炙)4.0、人参(紅参)4.0、大棗3.0、甘草(炙)2.0、当帰(酒洗)3.0、白朮(清炒)4.0、柴胡(三島)3.0、升麻1.0、陳皮2.0、乾生姜1.0

第2診

14日の間、3回失敗。ただし失敗時の尿量は減少している。また、朝起きるのが前ほど辛くない、という。そこでこのまま

処方1)補中益気湯を28日分投与。

第3診

 28日の間、4回失敗。そのうち一回は尿量が非常に多かった。それは学校の遠足で長距離を歩いて疲れて帰ってきた夜のことであったという。これは恐らく遠足の疲労により固摂作用が更に低下して起った現象と解釈した。方向性としてはこのままでよいと判断し、処方1)補中益気湯を継続服用。結局、処方1)を都合約4ヶ月間服用した段階で失敗が過去1ヶ月間なし、というところまでこぎつけた。この後、服用量を半減し症状の後戻りのないことを確認しつつ最終的に廃薬。服用開始から廃薬まで6ヶ月半かかった。

考察

 補中益気湯にて、固摂作用の向上に成功した例である。成書に「・・・補中益気湯にて補気し固摂作用を高め、漏れ出る症状を改善し・・・」などとよくある。確かにそのとおりなのだが、実際やってみると、これがなかなかうまくいかないことが多い。その理由のひとつに使用量不足があると思う。補中益気湯という選択がいかに正確でも、その使用量が十分でないと、その本来の治療効果は上がってこない。実際に今回のような膀胱の固摂作用の低下、すなわち括約筋の収縮力低下(未発達)には通常量で効かないことを多く経験している。10歳の通常量はAugsberger式では成人量の6割となるが、上記理由にて最初から成人量を用いたが、結果としてはこれがよかったと思う。【医案14 書痙】のように神経症において少量ずつ用いる場合と対照的である。

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