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症例紹介

アトピー性皮膚炎・夜尿症・腹痛

【症例71】 14歳、 女性
女性(中学3年生)。身長160㎝、体重50㎏。痩せて色白。弛緩した肉付きではなく、しまった感じ。

症例キーワード: 夜尿症皮膚腹痛

主訴

① アトピー性皮膚炎
両肘内側、顔面(眼周囲)、背中の発赤・痒み。肘内側は局面・苔癬化・淡紅色、眼周囲は赤く乾燥のため落屑あり。背中は小発赤が点在。いずれも痒みのため掻き崩すと表面に少量のベトベトした浸出液が出る。夏に顕著な悪化あり。アレルギーは他にも花粉症あり
② 夜尿症
2/3の失敗率。つまり、ひと月のうち約20日は失敗している。もらす尿は少量。一晩に一回のみ。通年。
③ 腹痛
臍の周囲の痛み。空腹時、疲れたとき、学校帰りなど発症するタイミングは不定。カイロを当てるとよいこともあるが効かない場合もある。
<併用薬>
ステロイド軟膏

全身症状
寒熱 冷え症
二便 大便:2~3日/行。玄米食で良好
小便:1日5~6行
飲食 食欲:平
飲水:平
全身 疲倦乏力(-)、容易感冒(-)
胸腹 臍腹痛(上記)
睡眠 良好
心神 良好
顔面・背中に自汗あり。手掌足心も発汗しやすい。黄汗あり。
頭痛なし
目・耳・鼻 目赤・鼻閉しやすい。
月経 月経周期不定。月経痛あり。
面色は白く、少し上気して赤味を帯びる。
舌質微紅、舌苔微白

経過・結果

第1診

症状は多岐にわたる。このような場合、個々の症状を追いかけずに基本体質を正確に把握し、それを治療することで道が開けることも多い。

この場合、望診上は痩せ型・色白・やや上気した顔色、それに加えて汗が出やすく、痛症(頭痛・腹痛・四肢痛のいずれか)あり。これらより桂枝剤の適合と判断。臍腹痛および便秘と夜尿は中空臓器の過緊張(虚労裏急)によるものと判断。そこで小建中湯を基本に用いることにする。黄汗及びアトピー(以下AD)があることから黄耆が、更にそのアトピーが夏季に悪化することから苦参・荊芥が必要と判断。

処方1)黄耆建中湯12/24g+消風散3/9g 分2 14日分投与。

処方2)太乙膏

 

考察

ADの痒み(↓)、ステロイド軟膏の使用量半分でコントロール可。ただし汗をかいた時は痒み増悪(特に背中・おしり)。夜尿失敗率2/3から1/3に改善。臍腹痛(-)。黄汗(+)。
そこでかゆみ止めとして苦参・荊芥を増量する。
処方2)黄耆建中湯12/24g+消風散3/9g+苦荊散1/2.1g 分2 14日分投与。
痒み横ばい。ただし、夜尿失敗率2/14。
処方3)黄耆建中湯12/24g+消風散3/9g+苦荊散2/2.1g 分2 14日分投与。
痒み(↓)、夜尿失敗率5/14。臍腹痛(-)
その後、処方3)を継続服用し三か月後、三つの症状は略治状態。折を見て漸減。

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