感冒後の発熱
【症例23】 66歳、 男性
身長166cm、体重62㎏、4/19来局
症例キーワード: 発熱
主訴
感冒(37.5前後の発熱、寒気、頭痛)にかかり、病院にてPL顆粒、抗生剤を投与されこれを服用。寒気と頭痛は取れたが発熱(38℃前後)のみ残り、更に抗生剤服用が続いている。このような状況がかれこれ10日ほど経過して、いまだ発熱が続いている。発熱している割に面色は青白く煩躁することもない。発熱以来だるくて日中も横になることが多い。
全身症状
寒熱 | 下肢冷(+) |
---|---|
二便 | 大便1日1行。 小便1日5~6行、夜間0行、色平・量平 |
飲食 | 食欲(平)、飲水(平) |
全身 | 腰痛少しあり |
胸腹 | 良好 |
浮腫 | なし |
睡眠 | 良好 |
心神 | 良好 |
汗 | 平 |
口 | 良好 |
目・耳・鼻 | 良好 |
面 | 白、無華 |
舌 | 舌質淡、舌苔微白 |
嗜好 | 飲酒(少々)、煙草(−) |
体型 | 中肉 |
血圧 | 血圧136ー79 |
脈拍 | 脈拍62/分 |
経過・結果
第1診4/19 『傷寒論・太陽病・中』に「太陽病、発汗、汗出不解。其人仍発熱、心下悸、頭眩、身ジュン動、振振欲擗地者、真武湯主之(太陽病、汗を発し、汗出でて解せず。其の人仍ほ発熱し、心下悸し、頭眩し、身ジュン動し、振振として地に擗(たお)れんと欲する者、真武湯之を主る)」とある。まさに、「PL顆粒にて汗を発し、汗出で解せず、その人依然として発熱」に置き換えてよいと思う。真武湯を用いることにする。 処方1)真武湯×5日分 処方1)真武湯 |
第2診4/23 「3日目から発熱しなくなった。元気が出てきた。もう大丈夫」とのこと。 |
考察
全身症状は「少陰の病たる脈微細、但寐んと欲っす」そのものである。このような「高齢者のカゼの治りぞこないの発熱」に真武湯を用いて効を収めたこと数えきれない。その発熱の様子は特徴的である。『漢方処方解説』に「検温してみると熱はあるが自覚症状は少なく、外見は案外平気で顔色は赤くならない、蒼い顔をしている。肺炎なども所謂無力性のものに本方の証がある。」とあるが、まさにこのとおりであろう。真武湯無効の場合、四逆湯類を用いて功を得たことが多い。
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