高血圧
【症例50】 60歳、 女性
身長158cm、体重60㎏。子供2人
症例キーワード: 高血圧
主訴
高血圧。収縮期が150代、拡張期が100前後。H25・8月にご主人がガン手術を受け、さらに術後の経過も思わしくなく心労がつのり9月ごろから徐々に上昇してきた。自覚症状は今のところ特にないが、過去にラクナ梗塞を2回経験しているので非常に心配であるとのこと。病院で出された釣藤散、黄連解毒湯など無効であった。
<病歴>
子宮筋腫、下肢静脈瘤、胆石、ラクナ梗塞
全身症状
寒熱 | 冷え症(-)、冷えのぼせ(-) |
---|---|
二便 | 便秘(2~3日/行) 小便:5~6行 |
飲食 | 平 |
全身 | 良好 |
胃腸 | 良好 |
月経 | 53歳で閉経 |
面 | 皮膚の基礎部は色白であるが、こめかみ・眼の周囲がわずかに青紫を帯びる。 |
舌 | 舌質微赤紫、舌苔微黄、舌尖に瘀点多数あり。 |
体型 | 面立ちはぽっちゃりしているが肩幅広く、腕の筋肉も発達している。 |
経過・結果
第1診病歴、及び面・舌の状況から血瘀が基本にあるものと判断。これに心労が加わり血圧上昇を引き起こしたものと考えられる。収縮期が150代、拡張期が100前後であるが、この場合拡張期の100前後に着目すべきであろう。便秘があるので大黄配合の駆瘀血剤が必須と思われる。便秘を伴う血瘀で血圧(拡張期)の高いものに処方1)通導散、並びに全身性の血瘀に処方2)冠心Ⅱ号方+田七を用いる。 処方1)通導散(エキス錠)×適量 |
第2診服用3日ぐらいから熟睡できるようになった。日中の元気が出てきた。血圧変わらず。 処方1)do.×適量 |
第3診処方1)do.×適量 |
第4診血圧安定してきた。体がとても軽い感じ。処方1)2)の服用を維持するよう指導。 処方1)do.×適量 服薬前後の血圧平均は以下の通り。 H24 11月 136-84 H25 1月 138-86 ・・・・・・・ 8月 135-88 <ご主人の手術> 9月 132-91 <12月下旬から処方1)2)服用開始> 1月 130-92 |
考察
血瘀による高血圧の典型であろう。拡張期の高い高血圧には通導散が第一選択肢である。