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症例紹介

変形性膝関節症

【症例60】 68歳、 女性
身長160㎝、体重85.4㎏

症例キーワード: ひざ痛関節痛

主訴

両膝とも(右>左)。触って熱感あり。膝~下腿の浮腫が顕著にある。指圧痕は顕著にできる。下肢の皮膚は乾燥してがさがさしていて光沢はない。夜中に足がつったりすることがある。現在痛みのために杖を使用しているが、歩行にかなり難儀している様子。この症状に対する病院治療はシップのみ。
<服用している薬>
ニューロタン、アテレック、エクア、メルビン、リバロ、メインハーツ

全身症状
寒熱
二便 大便1日1行
小便1日7~8行(夜1行)、量少
飲食 食欲:平 、飲水:平
全身 とにかく下半身が重だるい
胸腹 胃腸は良好
浮腫 下肢に顕著
睡眠 良好
心神 坂道で気短
上半身に多汗(特に夏は顕著)
舌質胖大・乾燥、無苔

経過・結果

第1診

風湿熱と判断。尿不利・上汗下腫・指圧痕から防已黄耆湯を選択。更に患部の熱感、尿不利・浮腫・下肢の皮膚乾燥・無光沢から麻杏?甘湯を併用。ただし、気短(⇒メインハーツ)があるので麻黄の影響を考慮し少量で様子を見ることにする。

処方1)防已黄耆湯(エキス散)11g/7.5g+麻杏薏甘湯(エキス散)3g/6g 分2×7日分

第2診

著効あり。膝痛(↓↓)、尿量(↑)浮腫(↓)、体重1.4㎏減。心悸・気短などの副作用(-)。
よって処方1)をさらに継続する。

処方1)do.×21日分

第3診

3週間後、初期の体重より3.7減。膝痛は、ほぼ消失し、杖を使わずに歩行している。

処方1)do.×21日分

第4診~

この後、調子が良くて仕量(建業の現場作業)を増やしたために膝痛悪化。そこで処方1)加地竜とし、回復。服用2.5ヵ月後の体重79.5㎏(初期より5.9㎏減)。現在も服用中。

処方2)防已黄耆湯(エキス散)11g/7.5g+麻杏?甘湯(エキス散)3g/6g+地竜エキス2.0g 分2×~

考察

「黄耆体質」が基本にあり、これに膝関節患部に「麻黄?苡仁証」が重なった典型例である。ここでの「黄耆体質」は下肢浮腫・尿不利・上半身の多汗(夏に顕著)・指圧痕など。「麻黄?苡仁証」とは膝関節の熱感・浮腫・皮膚の枯燥・尿不利をいう。もし、患部皮膚の状態が乾燥なくテカテカ・ピカピカした状態なら「麻黄石膏症」とみて麻杏甘石湯や越婢加朮湯を合する。「麻黄?苡仁証」と「麻黄石膏証」とでは同様に患部皮膚に熱感・浮腫があるが、水滞を起こしている深さが異なるのである。前者は深く、後者は浅い。
2.5ヵ月の服用で実に体重が6㎏弱減少し、ひざの痛みもなくなったので、ご本人には非常に喜んでいただいた。

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