右膝痛
【症例106】 64歳、 女性
がっちりした体格
症例キーワード: ひざ痛
主訴
右膝痛。
痛みはだいぶ以前からあったが、孫が生まれそのお守りで、ここ一年ほどひどくなってきた。右膝痛をかばうためか右腰も痛むようになった。右膝部を触ってみると熱感なく、水が溜まっている様子もない。皮膚はガサガサしている。ふくらはぎはボコボコしている。ただ、膝関節内側に圧痛がある。立ち上がる時、歩行時に痛みが悪化する。安静時には痛まない。病院で防己黄耆湯、当薬局で独活寄生湯、芎帰調血飲第一加減合独活寄生湯、芎帰調血飲第一加減合独活寄生湯加地竜を投じたが無効であった。
<病歴>
子宮筋腫
下肢静脈瘤(手術)
ラクナ梗塞
胆石(摘出手術)
メニエル病
<服用薬>
降圧薬
アスピリン
マグラックス
セルベックス
全身症状
寒熱 | 悪風(+)、冷え(−)、ほてり・のぼせ(−) |
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二便 | 大便:便秘の傾向(⇒マグラックス使用)。 小便:7~8/日、色量ともに平。 |
飲食 | 食欲:平。 飲水:平。 |
全身 | 倦怠無力(−)、容易感冒(−) |
浮腫 | 下肢に少し |
睡眠 | 良好 |
心神 | 良好 |
汗 | 夏は多汗になり、顔から流れるように出る。 |
頭 | 頭痛(−)、陰天時にめまい |
胃腸 | 良好 |
目・耳・鼻 | 冬は蓄膿になりやすい |
舌 | 舌質微紅、瘀点あり。無苔。 |
皮膚 | 皮膚は黄白色で肉付きはがっちりした感じ |
経過・結果
【第1診】 防己黄耆湯、芎帰調血飲第一加減、独活寄生湯が無効なことから風湿、血瘀、腎虚由来の膝痛ではないと考えられる。そこで、胆石症(摘出しているが…)由来の膝痛と考え、四逆散を用いることにする。より痛みに対応できるよう芍薬甘草湯を合する。 処方1)四逆散(エキス散)4.0/6.0g+芍薬甘草湯(エキス散)2.0/6.0g 分2×14日分 【第2診】 著効あり。服用3日後から全く痛まない。右膝のみならず右腰の痛みも消失。 この後も、再発するのが怖いということで、服用を継続することにする。 処方1) do. 分2×適量 |
考察
基本原理は【104左腰~左下肢の神経痛】と同じであろう。膝関節痛に用いたのはこれが初めてであった。
四逆散が膝の痛みに直接的に効くとはとても思えない。ここはやはり「胆石症が左右にひずみを生じその結果、身体片側性疼痛を生み出す」説が納得ゆく。
類似する症例
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【症例60】 68歳、 女性
両膝とも(右>左)。触って熱感あり。膝~下腿の浮腫が顕著にある。指圧痕は顕著にできる。下肢の皮膚は乾燥してがさがさしていて光沢はない。夜中に足がつったりすることがある。現在痛みのために杖を使用しているが、歩行にかなり難儀している様子。この症状に対する病院治療はシップのみ。
<服用している薬>
ニューロタン、アテレック、エクア、メルビン、リバロ、メインハーツ...もっと見る -
【症例89】 78歳、 男性
右膝痛。
農作業中に右膝が痛くなり、その翌日来局。農作業自体はごく軽いもので、今まで通りの作業量だった。右膝内側に圧痛・運動痛があり正座ができない状態で、右足をひきずって歩いている。患部に熱感はなく、むしろ冷えている。自発痛・腫れもない。
<現病・病歴>
ぎっくり腰をし、以来慢性的に腰痛あり。めまい。
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