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症例紹介

繰り返すぎっくり腰

不妊、流産癖

【症例120】 47歳、 女性
身長170cm、体重77㎏、がっちり型・肥満傾向。

症例キーワード: ぎっくり腰腰痛

主訴

ぎっくり腰。20代後半から何度も繰り返している。今回は3日前、上半身をひねったはずみで発症。痛みは必ず腰の左側に発症。痛みのため、朝の洗面が出来ない。腰をおさえつつ壁をつたいながらようやく来局。ロキソニンを服用しているが無効である。
曰く「痛くてたまらない。とにかく早く何とかしてほしい。3日で何とかならないか」⇒「3日では難しいと思う。せめて1週間は欲しい」⇒「では間をとって5日で治してほしい」。
<病歴>
盲腸手術(小学生)
子宮ポリープ摘出手術(42歳)
帝王切開にて出産(44歳)
胆石あり

全身症状
寒熱 冷え性(−)、ほてり(−)、冷えのぼせ(−)
二便 大便:4~5日/回、下剤使用
小便:1日4~6行
飲食 食欲:平~多
飲水:平
全身 頑健
浮腫 なし
睡眠 良好
心神 良好
扁桃腺が腫れやすい。
片頭痛(+)
胃腸 右わき腹の張り感~痛みあり。
月経 周期(30日)、経痛(−)、経血(暗赤)、血塊(+)

経過・結果

【第1診】

【症例104と同じ構造と思われる。つまり胆石や癒着などにより内臓の筋肉に「ひずみ(筋肉の前後・左右・上下の平衡失調)」生じ、これが腰部筋肉の異常緊張を引き起こし、その結果ぎっくり腰を引き起こしたものと思われる。更には、便秘を伴う血瘀が併存するものと考えられる。

「がっちり型の肥満」のものの胆石には大柴胡湯が考えられるが内臓筋を緩めることを優先し四逆散を選択。性急な性格、右わき腹の張り感・痛みも四逆散を肯定する材料になる。

内臓筋肉のひずみをとるべく四逆散を基本とし、これに芍薬甘草湯を加え、更に血瘀を下すべく桃核承気湯を併用する。

処方1四逆散3.0/6.0g+芍薬甘草湯3.0/6.0g 分2 5日分

処方2桃核承気湯2.0/6.0g 分2 5日分

【第2診】

服用3日後に来局。「とてもよく効いた。朝の洗面も大丈夫。車の乗り降りも苦痛なくできる」と。便通はもう少し。正月が来るので更に10日分ほしい。

処方1 do. 10日分

処方3桃核承気湯2.5/6.0g 分2 10日分

【第3診】

腰痛(10~20%残)、便通もう少し。右わき腹良好。精神的に気分が明るくなった感じがする、とのこと。片頭痛は今のところ出ていない。

処方1do. 14日分

処方4桃核承気湯3.0/6.0g 14日分

【第4.5診】

腰痛ほぼ消失。便通良好。偏頭痛発作あり。偏頭痛も治せるのであれば治してしてほしいとのこと。そこで四逆散を血府逐瘀湯合大柴胡湯に変更。

処方5血府逐瘀湯2.5/7.5g+芍薬甘草湯2.0/6.0g 分2 14日分×2回

処方6桃核承気湯2.0/6.0g+大柴胡湯2.0/9.0g 分2 14日分×2回

【第6~

腰痛、片頭痛、便通いずれも良好。時機を見て漸減予定。

処方5do. 14日分~

処方6do. 14日分~

 

考察

本案は典型的な胆石の5f(forty, female, fatty, fertile, fair)に該当すると思われる。胆石以外にも癒着(盲腸、子宮ポリープ等の手術)があるのかもしれない。これらはすべて内臓筋の異常緊張を起こし、これが体表筋に波及するものと考えられる。
「ひずみ(体幹筋肉の前後・左右・上下の平衡失調)による腰痛」と述べたが具体的には以下のとおりである。
左右:胆嚢・膵臓の機能異常⇒腰部の筋緊張⇒腰痛⇒四逆散
前後:腹直筋の異常緊張・胃痛⇒腰部の筋緊張⇒腰痛⇒建中湯類、柴胡桂枝湯
上下:肩こり⇒腰部の筋緊張⇒腰痛⇒葛根湯類

血府逐瘀湯は四逆散証で血瘀を加ねたものの諸症状、特に頭痛・胸痛に好適である。血瘀上衝・便秘を兼ねるものには桃核承気湯を、食毒を兼ねるものには大柴胡湯を併用してよい成績を得ている。

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