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腎不全・腎透析を回避するために・漢方のすすめ

そもそも、クレアチニン(Cr)、eGFR(推算糸球体ろ過量)ってなに?

クレアチニン(Cr)

クレアチニン(Cr)は筋肉で作られる老廃物の一つで、腎機能(腎臓がどれくらい働いているか)の指標の一つです。

腎臓は血液中の老廃物をろ過し、その老廃物を尿と一緒に体外に排泄する内臓です。

よって血液中の老廃物であるクレアチニン値が基準値より高ければ高いほど腎機能は低下していることを意味します。

クレアチニンの基準値は、男性1.2mg/㎗以下、女性1.0mg/㎗以下です。

また、クレアチニン値は筋肉の多い人はより高く、逆に筋肉の少ない高齢者などはより少なく測定されます。よって、高齢者の場合、クレアチニン値が低いといっても腎機能が十分機能しているかどうかはわかりません。

eGFR(推算糸球体ろ過量)

eGFR(糸球体ろ過量)クレアチニンと同様に腎臓の機能(腎臓がどれくらい働いているか)の指標の一つです。

上記クレアチニン値は性別と年齢に影響を受けます。そこで、「クレアチニン値」に「性別」と「年齢」を考慮した数値が必要になります。それがeGFR(糸球体ろ過量)です。

eGFR(糸球体ろ過量)が90ml/分/1.73㎥以上あれば腎臓は十分機能しているといえます。

まとめると、腎臓病を前提とした場合、クレアチニン値はより低いほうが、eGFR(糸球体ろ過量)はより高いほうが、腎臓は機能しているといえます。

慢性腎臓病(CKD)について

従来、わが国では何らかの腎疾患によって徐々に腎機能が低下し、末期腎不全(ESKD)に至る疾患概念として慢性腎不全(CRF)が定義されてきました。しかし近年、慢性腎不全(CRF)よりも早い段階から末期腎不全(ESKD)までの一連の病態をとらえる慢性腎臓病(CKD)という新しい概念が提唱されました。つまり、慢性腎臓病(CKD)は早期発見、早期治療、心血管疾患(CVD)の発症や末期腎不全(ESKD)への移行を予防するために設けられた病名です。

慢性腎臓病(CKD)はハイリスク群と第1期~第5期に分類され、それぞれのステージに応じた治療が行われます。

慢性腎臓病の原因として糖尿病腎症慢性糸球体腎炎(IgA腎症)、腎硬化症などがあります。

また、なりやすい平素の体質として高齢者メタボリックシンドローム(肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症)、過去に腎臓病になったことがある人、家族に腎臓病の人がいる、たばこを吸っている、などがあげられます。

慢性腎臓病は厳密には以下のように定義されています。

次の(1)、(2)いずれか、または両方が3カ月以上持続した状態をいう。

(1)尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らかである。

(2)GFRが60ml/分/1.73㎡未満に低下している。

糖尿病性腎症について

糖尿病性腎症は糖尿病の三大合併症の一つです。

糖尿病に罹患後、早い場合で5年、一般には10~15年ほどしてから発症するといわれています。

糖尿病患者の30~40%(400万~500万人)がこの糖尿病性腎症に罹患しているといわれています。

透析患者の原因疾患の第一位がこの糖尿性腎症です。

第1期、第2期はほとんど自覚症状はありません。

第3期になるとむくみ、息切れ、食欲不振が現れます。更に第4期、第5期になると顔色が悪い、疲れやすい、吐き気、筋肉の引きつり、手のしびれなどが現れます。

第3期以降は、病状の進行を遅らせることはできても、元の良好な状態に戻すことはもはや出来ません。第2期までに糖尿性腎症を見つけ出すことがとても大切になります。

慢性腎臓病(CKD)は心血管疾患(CVD)を併発しやすい

慢性腎臓病(CKD)では、その自覚症状がない段階でも、心血管疾患(CVD)を併発併発する頻度が高くなります。心血管疾患(CVD)とは脳血管疾患(脳梗塞)、虚血性心疾患(心筋梗塞)、心不全、心肥大、不整脈などをいいます。

つまり、慢性腎臓病(CKD)の治療は、将来起こる頻度の高い心筋梗塞・脳梗塞などの心血管疾患(CVD)の予防も同時に行わなければなりません。

慢性腎臓病(CKD)が進行するとどうなるの?

腎臓は、一定のあるレベルまで悪くなると自然に治ることはなく、ほおっておくと透析が必要な腎不全にまで進行する場合があります。日本は約30万人(国民400人に1人の割合)の透析患者がいます。

鹿児島県の人工透析の状況

鹿児島県の人工透析患者数は5444人です(H29)。

また、人口10万人当たりの鹿児島県の透析患者の割合は335人で、全国平均264人を大きく上回っています。これは都道府県別にみても全国で6番目に多い数値です(H29)。

腎不全・腎透析を回避するための漢方療法

慢性腎臓病(CKD)の第1期・第2期は日常の努力で、健康状態にまで腎臓機能回復が可能です。しかし、第3期以降は自己努力、あるいは薬物治療を用いても健康状態に戻すことは不可能といわれ、治療は「いかに腎機能を維持し、腎不全・腎透析を回避するか」が主目標になります。

病院の薬物治療は優れたものがそろっていますが、完璧ではありません。残念ながら、きちんと病院の治療を受けているのにステージが進んでしまう(悪化する)場合もあります。これを防ぐため、漢方療法の併用をお勧めします。

わたくしどもの慢性腎臓病(CKD)の漢方療法の骨子は以下の通りです

A:腎臓に蓄積した毒素を排泄する

B:加齢に伴う腎機能低下を回復させる

C:腎臓および心臓・脳の血流を改善する

以下詳しく解説します。

A:腎臓に蓄積した毒素を排泄する

腎機能低下は、様々な毒素が腎臓に蓄積して起こる病変と漢方では考えます。漢方では、「大便」「小便」「汗」「胆汁」など体がもともと持っている排泄ルートを利用して、この毒素を体外に排泄する作用を持った漢方薬を基本に用います。基本処方は「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」という漢方薬を用いています。ただし、実際にはこの防風通聖散を単独で使うことはなく、必ず状況に応じてさまざまな他の漢方処方と併用して用いています。

B:加齢に由来する腎機能低下を回復させる

腎機能低下を起こす背景に「加齢」があります。高齢者の慢性腎臓病(CKD)の場合この「加齢に由来するとする腎機能低下」を回復させなければなりません。漢方薬には古来より「加齢に由来する腎機能低下」を予防・治療する処方が用いられてきました。「八味地黄丸(はちみじおうがん)」という漢方処方です。これも状況に応じて八味地黄丸のほか牛車腎気丸、六味丸、杞菊地黄丸、知柏地黄丸、麦味腎気丸などバリエーションがあり、使い分けが必要です。

また、「黄耆(おうぎ)」という生薬を多用しています。腎臓の「糸球体」の機能を回復させる特異な作用があります。経験上、この黄耆(おうぎ)はたくさん用いると効果が上がります。どれくらい用いるかはそれぞれの状況で判断します。

C:腎臓および心臓・脳の血管を改善する

腎臓は細かい血管がびっちりと詰まった内臓で、血流が非常に盛んです。慢性腎臓病では、毒素の蓄積と同時に、このこれらの血管が動脈硬化をおこしています。そしてこの動脈硬化は腎臓のみならず心臓・脳の動脈硬化へと波及します。よって、慢性腎臓病(CKD)の治療にはこの動脈硬化も同時に治療しなければなりません。つまり動脈硬化を治療することは、単に腎臓病の治療のみならず、心臓・脳の動脈硬化の予防にもつながり、ひいては心筋梗塞・心不全・脳梗塞の予防にもつながります。これらの治療には「丹参(たんじん)」という生薬が非常に優れた効果を発揮します。単独で用いる場合もありますが丹参配合処方として用いる場合もあります。

まとめ

慢性腎臓病(CKD)は非常に複雑で、多くの場合、上記A,B,Cの治療がすべて必要です。よって使う薬剤もA+B+Cという形になります。わたくしども厚仁堂薬局では、状況に応じて「粉薬」「煎じ薬」などご用意しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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