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症例紹介

めまい

【症例20】 42歳、 男性
身長164cm、体重55kg。痩せ型

症例キーワード: めまい・耳鳴り

主訴

 回転性で悪心を伴うが嘔吐はしない。発作性に起り、特に食後に起りやすく、発作が出たら1時間ほど横になっていると何とか回復してくる。耳鳴りを伴う。陰天前好発。頭痛はない。難聴などの後遺症はない。病院では軽いメニエル病と診断され薬をもらっているがあまり効かない。
<病歴>
滲出性中耳炎

全身症状
寒熱
二便 大便1日1~2回、下利しやすい。
小便1日4~5回、色・量ともに平。
飲食 食欲・食量は平素より少ない。 飲水は平。
全身 疲れやすく、朝起きるのが辛い。
胸腹 常に心下部が重く不快感がある。
面色枯燥・萎黄。
舌質胖大、舌苔白膩。

経過・結果

第1診

めまいが回転性であること・悪心を伴うこと・陰天前悪化・舌苔白膩などから、めまいの原因が痰飲によるものであろうことがうかがえる。また、平素より食欲不振・心下部の症状・疲れやすい、舌質胖大などから、脾気虚が素体にあることがわかる。当然この両者は因果関係を持って成立している、つまり脾気虚から痰飲を生じこれがめまいの原因になっている、と考えられる。そこで、健脾益気・化痰鎮暈すべく処方1)半夏白朮天麻湯(エキス散)を用いる。

処方1)半夏白朮天麻湯(エキス散)9.0g/9.0g 分2×14日分

第2診

 14日分服用したもののなんら改善はない。そこで処方2苓桂朮甘湯を用いる。

処方2苓桂朮甘湯(エキス散)6.0g/6.0g 分2×14日分

第3診

 無効。ちょうどそのころ、胃腸型感冒にかかり、発熱・悪心・嘔吐・腹痛・水様性下利の症状が出る。そこで処方3藿香正気散を投与5日分投与。結果、胃腸型感冒は翌日にはほぼ治癒したが念のため残りも全部飲んだという。更に曰く「この薬を飲んでいる間は今までになく胃の調子がよかった。もたれもなく食事もおいしく、下利もしない。前の薬(半夏白朮天麻湯)よりはずっと(胃に関しては)よい。」と。これをどう考えるか?確かに藿香正気散は外感病に関係なく胃腸薬としても優れている。このめまいが脾虚痰飲に由来するものであれば、脾胃の調子を整えることが重要であることは明らかである。また処方構成を見ても二陳湯などが内包されており、理論的には痰飲由来のめまいに効いて不思議はない。ただ、一般に藿香正気散をめまいに用いた例はいまだ聞いたことがない。どうするか・・・。結局、前例よりも本人の体感を優先することとし、冒険ではあるが処方3藿香正気散を用いる。

処方3藿香正気散(煎じ薬)×14日分

藿香正気散
藿香2.0、厚朴(姜炙)3.0、紫蘇葉2.0、白芷1.0、半夏3.0、桔梗2.0、茯苓(朝鮮)3.0、白朮(清炒)3.0、陳皮2.0、大腹皮1.0、乾生姜1.0、大棗3.0、甘草(炙)1.0。

第4~12診

 14日分服用後、全身的体調はよい。めまい発作は、処方3服用以前は1週間に2~3回だったのが、この2週間は2回ですんでいる。また、その際の吐き気も軽く、回復までの時間も短縮している。効果ありと判断し、処方3を継続服用してもらうことにする。

処方314日分×8回

第13診

 その後、多少の症状の前後はあったものの、処方3)を約4ヶ月服用した段階で、めまいなし・胃腸症状良好・体重約2kg増加・面色良好などをもって治癒と判断した。ただ、脾胃病は再発しやすい傾向にあるので予防目的にOTC藿香正気散を現在も服用中。

考察

 私は基本的に漢方治療において冒険を好まない。理論と実践(経験則・実例)とが合致した治療方法を第一と考えている。そのいずれかが欠けても治療成績は落ちるものである。今回の場合、「理論には合致したが実践においては未知のもの」に藿香正気散を用いた例である。結果、効果を発揮できてよかったと思う。この医案は、藿香正気散のめまいに対する有効性の端緒を開くものかもしれない。今後の漢方諸家の研究結果を待ちたい。

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