ニキビ
【症例112】 35歳、 女性
身長157cm、体重43㎏。やややせ型、色白。
主訴
ニキビ。
〇口の周囲と額に好発。
〇赤~赤紫、3~5mmほどの丘疹、化膿(±)
〇甘いものを多食した後日、月経前、夜更かしをしたときに好発。
〇これ以外にも便秘、肩こり首こり、冷え性も何とかしてほしい。
全身症状
寒熱 | 冷え性で、足部、手部の冷えが非常に強い。冷えのぼせ(++)。 |
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二便 | 大便:2日/回(ただし下剤を使用している。下剤を使わなかったらもっと日数はかかる) 小便:10~/日、量平、色平。 |
飲食 | 食欲:平。 飲水:平。 |
全身 | 倦怠無力(+)、容易感冒(−)車暈(−) |
浮腫 | 下肢に少し |
睡眠 | 寝つき悪し |
心神 | 起床時に動悸しやすい |
汗 | 緊張で手掌・腋下に発汗あり。 |
口 | 口内炎出来やすい |
頭 | 頭痛(+)、筋緊張型頭痛、イブ服用/週。 |
胃腸 | 胃痛(−) |
月経 | 周期(28~30日)、経期(5日)、経痛(開始1日目にあり。鎮痛剤使用)、経血(色:暗紅、量:少)、血塊(φ10mm×数個)。 |
面 | 顔面は冷えのぼせのため紅潮 |
舌 | 舌質老、舌苔微白。 |
皮膚 | 皮膚は白い。アザができやすい。 |
経過・結果
【第1診】 月経状態、皮膚状態から血瘀が基本にある。さらに頭痛、肩こり・首こり、冷えのぼせなどから「血瘀上衝」も確認できる。これだけ「血瘀上衝」が顕著にあるのであれば、このニキビも「血瘀上衝」の流れの上にあるものと考えるのが妥当であろう。強い便秘もあることから桃核承気湯を選択。 処方1)OTC桃核承気湯(標準処方の2/3) 【第2診】 2週間後。効果はまだわからない。 処方1) do. 【第3診】 月経量増加、血塊減少。月経前のニキビの悪化(↓)、頭痛(↓↓)、肩こり首こり(↓)、手の冷え(↓)足の冷え(→)。桃核承気湯が有効と判断。 処方1) do. 【第4診】 多少の症状の前後はあるが概ね良好を維持。「瘀血体質を改善しましょう」といい、6か月の服用を指導。 処方1) do.~ |
考察
病理構造はほぼ【医案111 ジンマシン】と同じである。
「血瘀上衝」の症状の一つにニキビがあるという実例である。
類似する症例
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【症例72】 17歳、 女性
右肘外側および左前腕外側部の強い痒みを伴う小結節。結節は5ミリほどで無色。左右それぞれ3~4個ずつ点在している。突然痒くなりステロイド軟膏を使うと一週間ほどでかゆみは治まる(結節はそのまま)。しばらくするとまた痒くなる、を繰り返している。発症は中学二年のころ。原因不明。蓄膿が悪くなると皮膚も悪くなるような気がする。
<病歴>
ニキビ(額に多発・伴化膿)、肺炎...もっと見る