潰瘍性大腸炎

【症例175】 40歳、 女性
身長152㎝、体重41㎏、やせ型。子供一人あり。
症例キーワード: 05.消化器・肛門科下痢
主訴
潰瘍性大腸炎。
半年ほど前に発症。腹痛・下利・下血にて50日間入院。その間、点滴のみで絶食。体重10㎏減。退院後、すぐ来局。
現在、排便2~3回/日(普通便)、腹痛(へそ左下5㎝のところ、ジンジンする痛み、長坐・疲労時に好発)、出血(排便のたびに大便にへばりついている)。
全身症状
| 寒熱 | 冷え性、冬はレッグウォーマー着用して寝ている。 |
|---|---|
| 二便 | 大便:上記 小便:5~6回/日。 |
| 飲食 | 平。 |
| 婦科 | 周期(30日)、経期(7日間)、経血量(平)、経痛(-)。 出産前、子宮筋腫および経血過多・貧血あり。手術にてこれを摘出。大小併せて10個ほどあったという。2年前に第一子出産。1年ほど前から月経再開。 |
| 全身 | 疲れやすい |
| 睡眠 | 毎晩、中途覚醒2回あり。 |
| 面 | 白~蒼 |
| 舌 | 舌質淡、舌苔無 |
| 皮膚 | 皮下脂肪乏しく、かさかさした感じ。あざができやすい。 |
経過・結果
【第1診】
潰瘍性大腸炎は、びらん・潰瘍を大腸に形成するびまん性炎症疾患である。主症状は粘血便・下痢・腹痛・発熱である。出産後に発症・再燃しやすいという特徴がある。その原因は腸内細菌の関与、免疫反応の異常などの関与が指摘されているが、原因はいまだ不明である。指定難病である。
本案を時系列でみると、「2年前に出産⇒1年前に月経再開⇒半年ほど前に潰瘍性大腸炎発症」となる。つまり、「産後発症の潰瘍性大腸炎」である。漢方的には疑いのない「産後血瘀由来の潰瘍性大腸炎」である。そこで芎帰調血飲第一加減を基本に用いる。出血と固定した腹痛は当該患部に潰瘍が残存しているものと思われる。これに対して田七を用いることにする。
処方1)
芎帰調血飲第一加減4.0g/7.5g
田七2.0g
各分2 ×14日分
【第2診】
服用10日目以降、腹痛・出血なし。また、よく眠れ中途覚醒なし。元気も出てきた。
処方1) do. ×14日分
【第3診~】
良好を維持。途中、月経あるも変調なし。
処方1) do. ×14日分~
【第4診】
服用開始1年経過するが腹痛・出血は一度もおこらず。
「そろそろ漢方を減量・中止してみてはどうでしょうか?」
「潰瘍性大腸炎は再燃しやすい病気です。3年は服用を続けましょう」
「わかりました。服用を続けます。」
現在も服用継続中。
考察
潰瘍性大腸炎に芎帰調血飲第一加減加田七(+ペンタサ・レミケード・ミヤBM)にて非常にうまくいった例である。「産後におこった諸症状はすべて芎帰調血飲第一加減からはじめる」という原則に基づきこれを用いた。
田七は潰瘍患部の修復と止血とを目標に用いた。結果的にはこの組み合わせが良かったのであろう。田七が傷の修復と止血にうまく作用したのであったら、田七のみで芎帰調血飲第一加減は不要だったのでは、との考え方もあろうかと思う。しかし、再燃を繰り返す傾向のある潰瘍性大腸炎が処方1)を服用以来、非常に安定している。これは芎帰調血飲第一加減が潰瘍性大腸炎の核心を治しているからと考えるのが妥当であろう。田七だけではここまでの作用はない。また、よく眠れて元気が出てきたことも症状改
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