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症例紹介

口渇と身熱

【症例70】 17歳、 男性
身長178㎝、体重66㎏、褐色のツヤツヤした肌が印象的

症例キーワード: 口渇発汗発熱

主訴

口渇と身熱。口渇は3ℓ/日以上で喜冷飲。身熱は全身性に熱くなり、全身性の発汗を伴う。常に熱いわけでなく、授業中や運動後に発作的に体が熱くなり、発汗を伴い、この後口渇が起こり水をがぶ飲みする。これらの現象は夏季に好発する。身熱後でなくとも食事の時の飲水は多い。頭痛を伴うことが多い。病院検査では異常なし。
発症のきっかけは不明。高校に入学したころからか?

全身症状
寒熱 暑がり
二便 大便:1日1行(多飲時は下利となることが多い)
小便:1日10行~。色平、量平
飲食 食欲:良好
飲水:上記
全身 元気あり
胸腹 良好
浮腫 なし
睡眠 良好
心神 良好
身熱時に随伴して発汗あり
多飲に頭痛あり。
舌質淡・嫩、舌苔微白・微潤
皮膚 引き締まった肉付きで、色は褐色。

経過・結果

第1診

陽明経症による「大熱」「大汗」「大渇」と判断し基本は白虎湯。身熱に随伴する頭痛もあるので桂皮が必要と判断。用いるべきは白虎加桂枝湯。エキスでは白虎加人参湯に桂皮末を少量加えて用いることにする。

処方1)白虎加人参湯12/12g+桂皮末0.5g 分2 14日分投与

<結果>
少し良いような気がする。飲水量は80%残。頭痛(±)
更に処方1)を14日分投与。
暑くなってきて(5/21)、身熱・口渇は元に戻る。

再度検証

白虎湯で舌微潤はおかしいのでは?(白虎湯の舌の基本は乾燥)
白虎湯の身熱は常時あるもので、この発作性の身熱は気上衝と捉えるのが妥当ではないか?(であればこの気上衝には桂皮剤が必要か)
白虎湯においては、その多飲による下利は起こらない(すべて尿に出る、つまり白虎湯に排尿障害はない)。
以上より、水飲の蓄積による身熱・口渇・発汗・頭痛・下利と判断し、五苓散を投与。

処方2)五苓散6 / 6g 分2 7日分投与。

著効あり。尿量急増、身熱・渇(↓↓)、頭痛・下利(-)。
以後、五苓散を適宜服用するよう指導。
<反省点>
○舌微潤で白虎湯を疑うべきであった。
○身熱の把握の間違い。白虎湯の身熱は常時あるもので発作的なものではない。
○白虎湯に下利はない。
○白虎湯であれば改善は早い。初回1週間分で様子を見るべきであった。
○結果論であるが、尿の顕著な増量があったということは平素から尿量の減少があったものと思われる。問診では尿量(平)とあったが、ここが白虎湯と五苓散との鑑別になってくる部分であり、もう少し詳しく問うべきであった。
○五苓散の浮腫は必発ではない。
○飲水量で白虎湯と五苓散とを鑑別するべきでない。

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