咽痛を伴う発熱

【症例103】 20歳、 男性
痩せているが筋肉質
症例キーワード: 08.耳鼻咽喉科09.呼吸器科14.かぜ・発熱・その他咽痛発熱
主訴
咽痛を伴う発熱。
5月17日から38~39°の発熱。起床時は37.5°前後まで下がっているが、午後からだんだん上昇し、夜には決まって39°を超す。とにかくだるい。病院にてフロモックス、カロナールを都合3日服用したが全く無効。咽痛は唾をのむのもつらい状態。同時に口渇があり、冷水を飲むとその瞬間だけ痛みが少し和らいで気持ち良い。また発熱により汗(ベトベトした状態)を多くかき、同時は背中がゾクゾクとして気持ち悪い。本人曰く「熱いのか寒いのかよくわからない」と。更に頭痛・肩こり・めまい(起立時にクラっとする)もある。喉を見てみると、扁桃に膿栓が多数付着している。
詳しく聞いてみると、年に3~4回ほど今回同様の咽痛・発熱をおこし、また平素から37.2~.3°の微熱があるという。
経過・結果
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【第1診】 基本に扁桃腺の慢性感染(平素の微熱、膿栓)があり、これが状況により強く咽痛・発熱を起こすものと判断。基本は小柴胡湯加桔梗。顕著な口渇があるので石膏を加え、さらに悪風・頭痛・肩こりがあるので葛根湯を併用し葛根湯加桔梗石膏の意を持たせることにする。 処方1)小柴胡湯(エキス散)7.5/7.5g+桔梗石膏(エキス散)6.0/60g+葛根湯(エキス散)7.5/7.5g 分3×3日 【第2診】 服用翌日には平熱に解熱し咽痛も消失。念のため3日分全部服用してもらった。将来の腎病の恐れを説明し、今後は平素から扁桃腺炎を治療することを勧めたが、治療を続けてくれるかどうか。 |
考察
本案において最も気になった点が「葛根湯(加桔梗石膏)を有汗に使えるか」である。本案では明らかに悪風があるので麻黄は必須であろう。悪寒・発熱・口渇には大青龍湯であろうが大青龍湯には汗はない。また、汗出・発熱・口渇は麻杏甘石湯であろうが、麻杏甘石湯に顕著な悪風はない。一方、非麻黄剤では発熱・咽痛・有汗・口渇は銀翹散でゆけるであろうが銀翹散には悪風はない。本案においては「悪寒・発熱・有汗・口渇」といったように風寒(悪寒・発熱・無汗)と風熱(但熱不寒・有汗・口渇)とが混合した形になっていた。結果として、これらの症状に対する処方1)の効果は、葛根湯加桔梗石膏が効いたのか、あるいはこれに小柴胡湯を合わせたから効いたのかは判別つかないが、「悪寒・発熱・有汗・口渇」といった複雑型の治療に示唆を与えるものではないだろうか。
とりあえず処方1)により急性の症状は取り除けたが、扁桃腺の化膿病巣は依然と存在しているはずである。平素は小柴胡湯加桔梗石膏あるいは排膿散及湯等の服用を続け、扁桃腺の化膿病巣を根治する必要がある。慢性扁桃腺炎は放置すると後年腎臓病の原因となる恐れがあるので注意が必要である。
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