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症例紹介

緊張過多、不安感、発汗過多、手指震え感

【症例162】 69歳、 女性
身長149㎝、体重47㎏。体格やややせ型

症例キーワード: 不安発汗過多自律神経

主訴

 2年ほど前から。理由もなく緊張し、家事が手につかない。漠たる不安感もあり。手掌の発汗と手指の震え感、。終日だるく、横になって過ごすことが多い。もともと神経質で心配性。症状に波があり、良かったり悪かったりを繰り返している。悪くなるきっかけは不明。
<病歴>
胆のう:33歳時、結石にて摘出手術
子宮筋腫:45歳時、子宮摘出手術。
膀胱脱:メッシュ手術
<服用薬>
デパス(頓服)

全身症状
寒熱 冷え性
二便 大便:2日/回。
小便:10~回/日、 夜間1行。
飲食 食欲:少。ストレス不食あり。
全身 やる気が出ない
胸腹 疲労時に悪心あり。
浮腫 なし
睡眠 中途覚醒(2回、再入眠悪し)
舌質微紅、舌苔白、わずかに右に湾曲。

経過・結果

1

 自律神経失調症といったところか。もともと神経過敏(神経質・心配性)の下地があり、そこに何かのスイッチが入り、これらの症状を形成したのであろう。

 ストレス不食・症状に波があることなどから柴胡体質、さらに手指の震え感、歪舌から化風が考えられる。そこで抑肝散を用いたいところであるが、悪心傾向より抑肝散加半夏陳皮を用いることにする。

処方1) 抑肝散加陳皮半夏 4.5/9.0g 分2 ×14日分

23

焦燥感・不安感すこし良い感じである。手掌発汗・震え感は不変。

処方1) do. ×14日分×2回

【第4、5、6診】

 とても安定してきた。手掌発汗・震え感ともに減少。家事・外出もでき、横になることも少なくなった。よく眠れる。

処方1) do. ×14日分×3回

【第7診】

 数日前より急激に悪化。服用前に戻ったようである。原因不明。不安で、目が泳いでいる。所作も落ち着かず、そわそわしている。原因を一緒に考えるに、ちょうど4月中旬であることか、あるいは春の長雨の影響か、あるいはバスツアーに出かけて疲れたせいか・・・。思うに、これらのひとつひとつには具体的意味はなく、「外界からの様々な刺激に容易に反応しやすい体質」が抑肝散加半夏陳皮証の奥に内存していると考えるべきではなかろうか。そこで芎帰調血飲第一加減合荊芥連翹湯を合方する。

処方2) 抑肝散加半夏陳皮 3.0/9.0g 

    芎帰調血飲第一加減 2.5/7.5g

    荊芥連翹湯 2.5/7.5g    各分2 ×14日分

 

第診8910111213】

 少し良いような気もするがよくわからない。少なくとも悪化はしていない。

処方2) do. ×14日分×6回

【第診10~】

 安定していたときのレベルに回復。その後も好不調の波はあるもののその振幅は小さく、不調時も何とか平静を保っている。現在も服用中。

処方2) do. ×14日分~

 

考察

 自律神経失調症の大きな特徴として「波」があげられる。不調へと転じる原因は多岐にわたる。季節の変わり目、低気圧、台風、ストレス、冷え、風邪の後、疲れ、引っ越し、そして原因不明。これら原因の性格を勘案しそれに応じた対処をするのも方法の一つであろうが、実際にはその原因の特定・対策など困難な場合が多い。このような場合、「波」の原因を外に求めず内に求めるようにしている。つまり、波の原因は「様々な外来刺激に容易に反応しやすい体質」にあると考える。これすなわち一貫堂でいう解毒症である。『漢方一貫堂医学』P149をまねて荊芥連翹湯を用いている。さらに、自家経験則であるが、芎帰調血飲第一加減を合するとより効果的である。劇的には効かないが振れ幅が小さく安定してくる。
 本案は直接「目に見える症状」は抑肝散加半夏陳皮である。それだけで対応できればそれでよし。もし「波」に翻弄され、なかなか回復できない場合はその背後に「何か」があると考えるべきであろう。その「何か」の一つとして解毒症を考えている。「目に見える症状」からアプローチした処方が難治の場合、その切り返しの技として荊芥連翹湯+芎帰調血飲第一加減を加えてみる。

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    トンネルが苦手。
    <服用中の薬>
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