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症例紹介

限局性強皮症

【症例163】 51歳、 女性
身長161㎝、体重52㎏。体格普通。

症例キーワード: 免疫病

主訴

限局性強皮症。
手指の褐色化(色素沈着)・こわばり・むくみ。シェーグレン症候群によるドライアイとレイノー現象を伴う。血液検査では全身性強皮症と限局性強皮症と両方陽性反応が出ているとのこと。他には白血球3460(L:4000~8000)、好酸球5.8(H:0.9~2.9)が異常値を示す。病院の治療は、はじめステロイド剤を服用したが副作用のため中止。現在は何も行っていない。
<現病・病歴>
子宮内膜増殖症:子宮摘出手術(46歳時)
逆流性食道炎 
<服用薬>
ネキシウム、フルオロメトロン点眼、ジェイゾロフト、エスゾピクロン

全身症状
寒熱 非常に強い冷え性。冬は靴下重ね履き、電気毛布使用。
二便 大便:1日/回。
小便:20~回/日、 夜間2行。
飲食 食欲:良好。
婦科 子宮内膜増殖症にて無排卵・経血過多が続いていた。最終的には子宮摘出手術。
全身 非常に疲れやすい
胸腹 胸焼け
睡眠 入眠悪く、エスゾピクロン服用中
心神 抑鬱傾向あり、ジェイゾロフト服用中
腋下と頭部に好発。
舌質微紅、舌苔微白。 
四肢 肩こり強い

経過・結果

【第1診】

 限局性強皮症は自己免疫疾患である。女性の自己免疫疾患は血瘀に由来することが多い。本案においては子宮内膜増殖症の罹患歴がある。これに注目したい。子宮内膜増殖症は子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症などと同様にエストロゲンの影響を強く受けて起こる疾患で、漢方的には血瘀である。この血瘀が免疫異常を引き起こし、結果限局性強皮症につながったのではないか、と考える。そこで芎帰調血飲第一加減を基本に、これに桂枝茯苓丸加薏苡仁を併用する。

処方1) 芎帰調血飲第一加減5.0/7.5g

    桂枝茯苓丸加薏苡仁3.0/7.5g  各分2 ×14日分

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 病院にて血液検査。白血球4590(N)、好酸球3.4(N)。手指のこわばり、やや改善あり。ドライアイ改善あり。涙が良く出る。元気が出た。また、ご本人いわく一番の改善点はよく眠れるようになったこと。これがとにかくうれしい、とのことである。

処方1) do. ×14日分×3回

【第5診~】

 手指のこわばり、腫れ、色素沈着などほぼ消失。排尿(20回⇒10回/日)、ドライアイ(点眼使用5回⇒1回/日)、睡眠(エスゾピクロン半分に減量)、胸焼け(ネキシウム半分に減量)。レイノー現象起こらず。その後も服用を続け、1年後には半量に減じ、現在もこれを服用中。

 

    

考察

 強皮症には限局性強皮症と全身性強皮症とがある。同じ強皮症と名がついているものの、基本的病理構造は異なり、別個の疾患と考えられている。全身性強皮症は指定難病で病理も複雑である。限局性強皮症の進行は発症後数年以内に鎮静化するといわれている。限局性強皮症は自己免疫疾患である。
 自己免疫疾患を漢方でどのように考えるか。大きな問題である。わたしは自己免疫疾患を、現在のところ、血瘀型と痰飲型とに分けて考えている。前者には芎帰調血飲第一加減、後者には柴苓湯を基本に用いている(将来的にはさらに第3、第4の項目が追加されるかもしれないが・・・)
血瘀由来と思われる自己免疫疾患に芎帰調血飲第一加減をよく用いている。芎帰調血飲第一加減を血瘀由来の自己免疫疾患に用いるポイントは以下の3つを考えている。
①出産後に発症していること
②婦人科領域における血瘀性病変の履歴
③全身性血瘀症状の存在
これらのいずれかが認められれば芎帰調血飲第一加減を用いる。
 本案においては①該当せず、③顕著な兆候なしであるが、②子宮内膜増殖症の手術履歴がある。手術しても血瘀体質はその後も残るものである。この点をもって血瘀由来の自己免疫疾患と判断し芎帰調血飲第一加減を用いた。
  

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