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症例紹介

自律神経失調症

【症例98】 45歳、 女性
身長160cm、体重63㎏、ぽっちゃりとしてやや太った体形

症例キーワード: 不安発汗自律神経

主訴

自律神経失調症。
4ヵ月ほど前のこと、歯科にて奥歯の治療中、突然過呼吸症状をおこす。その症状は、手足のしびれからはじまり、だんだん動悸が激しくなり、その動悸の音が耳まで大きく響き、ついに呼吸が苦しくなってしまう、といった具合だった。これ以後ことあるごとに、動悸発作とこれに伴う息苦しさ、不安感、手指のしびれ・震え、めまい、のどの渇き、後頭部の発汗(お風呂から上がった時のようにびっしょりと濡れる)、頻尿等の症状が発作性に起こるようになった。また、これ以来不眠が顕著である。現在下記の薬を服用しているがあまり効果を実感できない。
<併用薬>
エチセダン、パキシル、レンドルミン

全身症状
寒熱 手足は冷え性、冷えのぼせ顕著にあり
二便 大便:1日1行
小便:1日10行~
飲食 食欲:平
飲水:平
全身 疲れやすい
浮腫 なし
睡眠 不眠
発作時の後頭部の発汗以外に異常はない
頭痛(−)
胃腸 悪心嘔吐(−)、経前乳脹(+)
月経 周期(30日)、経期(56~日)、経痛(−)、子宮筋腫(6cm×1個、小さいもの×2個)、経血過多、排卵痛(+)
顔面は上気して紅潮あり
舌質微紅、舌苔白

経過・結果

【第1診】

「動悸発作とこれに伴う息苦しさ、不安感」を胸脇苦満と考える。また、平素からの経前乳脹・皮膚黄褐色などを合わせて考え「柴胡体質」と判断。後頭部の発汗と口乾から柴胡桂枝乾姜湯を選択。半夏厚朴湯を併用する。

処方1)柴胡3、桂皮3、黄芩2、牡蠣6、栝楼根3、乾姜2、大棗2、半夏4、茯苓6、厚朴3、蘇葉2(柴胡桂枝乾姜湯+半夏厚朴湯) 7日分 

【第2診】

無効。そこで柴胡桂枝乾姜湯を四逆散に変更し、四逆散+半夏厚朴湯とする。

処方2)柴胡4、芍薬4、枳実3、甘草2、半夏5、厚朴4、茯苓6、厚朴3、蘇葉2、生姜1(四逆散+半夏厚朴湯) 7日分

【第3診】

良好。息苦しさ(↓)、動悸(↓)、頭部の発汗(↓↓)、口乾(↓)、頻尿(↓)。ただし予期不安顕著。

処方2) do. 7日分

【第4診】

食べたものがのどで痞えて下がってゆかない感じ。ゲップ多い。また、排卵痛があり同時に頭痛もする。このとき、諸症状が悪化するような気がする。排卵痛・頭痛は子宮筋腫由来の血瘀によるものと考えられる。そこで痞え感とゲップに陳皮を、血瘀に桂枝茯苓丸料を追加する。

処方3)柴胡4、芍薬4、枳実3、甘草2、半夏5、厚朴4、茯苓6、蘇葉2、生姜1、陳皮4、桃仁3、牡丹皮3(四逆散+半夏厚朴湯+陳皮+桂枝茯苓丸料)    14日分

【第5診~】

喉のつかえ感(↓)、指のしびれ・震え(↓)。不安感もだいぶ落ち着いてきた。表情にも笑顔が見られ余裕が感じられる。現在、パキシルのみでエチセダン、レンドルミンは服用せずに済んでいる。この後も多少症状の前後はあるが安定を維持。処方3)を6か月の服用の後、パキシルを1/2に減量したが症状の悪化なく経過している。現在も処方3)を服用中。

 

考察

自律神経失調による動悸、のどの閉塞感及びこれに伴う不安感は、「桂枝体質」「柴胡体質」「半夏体質」が基本にあることが多い。この基本体質を看破することが大切であると考える。今回の症例の場合、基本に柴胡体質あり、頭部発汗異常と口乾から柴胡桂枝乾姜湯を選択したが無効だった。そこで頻尿・指の震えから四逆散を選択。結果としては四逆散がポイントだった。四逆散合半夏厚朴湯は「八味解鬱湯」としてこのような自律神経性の諸症状に好んで用いている(八未解鬱湯は『黄煌経方沙龍』から引用)。さらに桂枝茯苓丸料を合したことで効果は向上しているようである。はじめから桂枝茯苓丸料を配合していたらもう少し早く効果を発揮できたかも知れない。
今回の症例において、全身を俯瞰して考えるならば、構造的には「柴胡体質」+「血瘀」というところであろうか。

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    トンネルが苦手。
    <服用中の薬>
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