めまい

【症例159】 53歳、 女性
身長152㎝、体重48㎏。
症例キーワード: めまい・耳鳴り
主訴
めまい。
立ち上がったときや頭部を傾けたときに好発。また歩行中にもふわふわとした感覚になり、足元が安定しない。発症時間は数秒~1分くらいの間。頭痛・吐き気・耳鳴りはない。発症は数年ほど前から。ただし学生の頃も同症状はあった。病院から鎮暈薬をもらっているが長くは飲みたくない。血圧80~50、赤血球(N)、ヘモグロビン(N)。午前>午後、夏>冬。
全身症状
| 寒熱 | 冷え性。のぼせやすく長湯ができない |
|---|---|
| 二便 | 大便:3日/回 小便:7~8回/日、 夜間0回 |
| 飲食 | 食欲:平 |
| 婦科 | 52歳閉経、器質病変なし |
| 全身 | 午前中はぼーっとしていてだるい。朝起きが苦手 |
| 浮腫 | なし |
| 睡眠 | 良好 |
| 心神 | 神経過敏傾向 |
| 汗 | 緊張すると手汗が出やすい |
| 舌 | 舌質胖大・淡、舌苔微潤 |
経過・結果
【第1診】
頭位めまいと思われる。のぼせやすく長湯ができない、午前中はぼーっとしている、朝起きが苦手などからいわゆる「フクロー体質」が基本にある。基本処方は苓桂朮甘湯である。さらに発症時期が更年期と重なることから何かしらの血剤が必要と思われるが芎帰調血飲第一加減を用いることにする。芎帰調血飲第一加減に苓桂朮甘湯は内包されているが、より積極的に眩暈を改善すべく、芎帰調血飲第一加減に苓桂朮甘湯を併用して用いることにする。
処方1) 芎帰調血飲第一加減3.0/7.5g+苓桂朮甘湯2.0/6.0g 分2 ×7日分
【第2診】
著効あり。服用翌日よりめまい起こらず。また、体調良く、朝がすっきり起きられる。さらには便通が毎日あるようになる。
処方1) do. ×14日分
【第3診~】
良好を維持。
処方1) do. ×14日分~
考察
「フクロー体質」と更年期とが混在したものであろう。
フクロー体質:「朝寝坊の宵っ張り」。朝早く起きても頭がぼーっとしてはっきりしない。朝食は欲しくない。午前中は体の動きもよくないし、頭の働きも悪い。その後、段々によくなり午後の三時を過ぎると非常に良くなる。日が落ちるころから夜にかけては一日中で最も元気である。何を食べてもおいしい。いろいろな不定愁訴もこの時間帯(18~24時)はほとんどなくなっている。しかし早く眠らなければと思い床に就くが頭がさえて眠れない。症状が現れ苦しみを訴えるようになるのは大体20代くらいからである。女の場合は結婚をして最初の子供を出産したころからが最も多い。子供のころは朝は起きられず、夜は遅くまで遊んでなかなか眠らない。朝食は欲しくなく、朝礼で脳貧血でぶっ倒れる。めまい・頭痛・肩こりを訴える。やせ型が多く、暑さに弱く、長湯ができない。血圧は低い傾向にあるが正常の場合もある
(『東医雑録(1)』より一部抜粋)。
フクロー体質の主方は苓桂朮甘湯である。さらに血瘀(産後、更年期)が加わると芎帰調血飲第一加減を用いる。
苓桂朮甘湯
↓
苓桂朮甘湯+四物湯 or 苓桂朮甘湯+当帰芍薬散(+柴胡桂枝乾姜湯)
↓
芎帰調血飲第一加減(+苓桂朮甘湯)
芎帰調血飲第一加減の添付文章に「体力中等度以下のものの次の諸症・・・」とある。「体力中等以下」とは「どちらかというと虚弱な傾向」といった意味であろう。では具体的にどのように虚弱なのか?芎帰調血飲第一加減を前提とした場合、虚弱の一つの具体的典型例として上記「フクロー体質」がある。
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