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症例紹介

膝関節痛

【症例164】 59歳、 女性
身長175㎝、体重80㎏。体格大柄・肥満。子供二人あり。

症例キーワード: 膝痛、神経痛

主訴

右ひざの痛み。1年ほど前から。歩行時・起立時・階段の上り下りの時に痛むが安静時に痛むこともある。膝関節は腫れている。発赤・熱感はない。膝関節内側部の圧痛あり。また、両下腿部にむくみあり。指圧痕(+)、朝<夕、腓腹部は硬い。ここ5年ほどで体重が7キロ増加した。それも膝痛の原因かもとのこと。
先日、とうとう膝に水がたまり整形外科にて注射器で抜水。赤色の液体がたくさん取れた。
<現病・病歴>          
・卵巣嚢腫にて左右の卵巣摘出(57歳時)     
・高血圧                   
・片頭痛                  
<服用薬>
・テルミサルタン(降圧薬)
・スマトリプタン(片頭痛)
・ロキソニン

全身症状
寒熱 膝から下は冷える。冷えのぼせあり
二便 大便:2~4日/回。下剤使用あり。
小便:6~7回/日、尿量すくなめ。 夜間0行。
飲食 食欲:平。
婦科 有経時は経血過多でずっと貧血であった。
全身 体が重だるい。
浮腫 下腿、顔面
睡眠 入眠悪し
心神 良好
上半身・項に多く出る。夏に多い。
片頭痛あり
胃腸 腹部膨満感あり
目・耳・鼻 突発性難聴以後、難聴(左)が続いている。
舌微紅、舌苔微白 
皮膚 下肢静脈瘤なし。あざができやすい。
四肢 筋肉は発達している。

経過・結果

【第1診】

 およそ二つの原因が考えられる。一つ目は、膝関節の浮腫・水腫および下腿部の浮腫、上半身の発汗過多などから「風湿」。もう一つは卵巣嚢腫の手術歴、高血圧、抜水時の液が赤色(おそらく内出血を交えたものであろう)、あざができやすい、などから「血瘀」。まずは前者からやってみる。上汗下腫(黄耆体質)から防己黄耆湯、尿不利・肌肉堅緊・浮腫(麻黄体質)から越婢加朮湯とし両者を併用することとする。

処方1) 防己黄耆湯4.0/7.5g

    越婢加朮湯4.5/9.0g   各分2 ×14日分

2

 改善なし。そこで血瘀からアプローチすることにする。血瘀性の関節痛と考え疎経活血湯をベースに、高血圧、便秘、体格などから通導散、下半身の血瘀に特化して芎帰調血飲第一加減、この三処方を併用する。

処方2) 疎経活血湯3.0/4.5g

    芎帰調血飲第一加減4.0/7.5g   各分2 ×14日分

処方3) 通導散4.0/12.0g          分2 ×14日分

【第3診~】

 ひざ痛30%ほどに減少。膝関節の腫れ減少。内側部圧痛減少。下腿部の浮腫は改善なし。便通2日/回(下剤不使用)。その後も同処方を継続。

処方2) do. ×14日分 ~

処方3) do. ×14日分 ~

考察

 本案の病理構造を風湿と考えた根拠は、例えるなら「物的証拠」、血瘀については「状況証拠」である。一般論では物的証拠が状況証拠よりも確度は高いのであるが、こと漢方においてはそうはいかないようである。
 処方2)3)が奏功したことから、その病理を血瘀を軸に構造的に考えてみる。まず、経産婦であること。これが血瘀症の始まりかもしれない。膝痛発症の以前から婦人科系の血瘀(卵巣嚢腫、経血過多)があり、この血瘀が便秘と結合し、更には高血圧を招いた。つまり婦人科系の血瘀が全身性の血瘀へと拡大した。その後、体重増加に伴い膝関節に過重な負荷がかかり膝関節周囲に血瘀を生じ、膝痛を引き起こした、と。
 別な角度からの考察であるが、膝痛に限らず、炎症と緩解を繰り返した部位は、大なり小なりに必ず血瘀(血行不良)をひきおこす。そうなると、主症状を治する薬剤の成分が患部に届かない。届かないから効かない。よって主症状を治する薬剤を効かせるために駆瘀血剤の併用が必要になる。【第33弾・症例88】において独活寄生湯+芍薬甘草湯附子+芎帰調血飲第一加減を用いているが、基本思想は本案と通底している。難治性疾患、慢性化疾患の治療には必ず駆瘀血剤の配合が必要と言われるが、その理由の一つがこのあたりにあるのではなかろうか。

 

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