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症例紹介

亜急性甲状腺炎後の体調不良

不妊、流産癖

【症例165】 46歳、 女性
女性。身長151㎝、体重46㎏。体格普通、子供二人あり。

症例キーワード: 免疫病

主訴

 半年ほど前に風邪の後に亜急性甲状腺炎を発症。病院にて2か月ほどステロイド剤を服用し治癒。その後もだるさ、微熱(36.8~37.3°)、顔面のむくみ、頭面部の多汗、不眠、(既存の)酒さ様皮膚炎の悪化、血圧上昇(170-100)などの体調不良を残す。「血圧だけはコントロールしましょう」とのことでテルミサルタン投薬。他はしばらく様子を見るとのと。血圧はその後150-90まで降下。            
<現病>
 子宮内膜症にて低用量ピル服用中。閉経まで服用継続予定。

 

全身症状
寒熱 体幹・足心は終日ほてっている。特に夕方以降に顕著で、この時顔面が暗赤色に紅潮してくる。このため既存の酒さ様皮膚炎が悪化する。
二便 大便:1日/回。
小便:5~6回/日、尿色黄。夜間4行。

飲食 食欲:平
全身 もともと元気なほう。病後から非常に疲れやすい。平素よりノド風邪をひきやすく、微熱が出やすい。
浮腫 病後から起床時に顔面に好発。
睡眠 もともと睡眠良好。病後から不眠(入眠悪く、中途覚醒2~3回あり)。
心神 良好
病後から少し動いただけで頭面部に多汗。
扁桃腺が腫れやすい。
舌紅、舌苔なし    

経過・結果

【第1診】

 そもそも亜急性甲状腺炎とは。成書によると「多くは風邪に続発する甲状腺の炎症で、ウイルス(ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルスなどの報告あり)感染が原因。背景に遺伝的要素あると考えられている。多くは数ヶ月で治癒する。夏から秋に好発。まれに甲状腺低下症に移行する場合もある。症状は甲状腺の圧痛・発熱・甲状腺亢進症状(全身倦怠、頻脈、多汗)など。治療はステロイド剤が中心。」とある。自己免疫疾患には分類されないが、何かしら免疫異常がかかわっていると考えられている。

さて、本案。微熱・多汗など亜急性甲状腺炎の症状を残しているようであるが、検査上問題はないとのこと。病理構造は何かしらの免疫異常とそれから派生した熱症状ではないかと考える。漢方的には、基本体質として、子宮内膜症があることから血瘀が、さらに慢性扁桃腺肥大・微熱が出やすいことなどから免疫系の炎症を引き起こしやすい体質があることは間違いない。前者には芎帰調血飲第一加減。後者はリンパ流の鬱滞によるもので痰飲による免疫異常と考え柴苓湯。また、身熱・面紅・尿黄といった熱症状が顕著にある。これにも対応が必要と考える。石膏剤か黄連剤か、あるいは地黄剤か。ここで夜間排尿4回に注目する。石膏剤、黄連剤に夜間排尿4回は考えにくい。夜間排尿4回と尿黄、舌紅無苔を合わせて陰虚火旺とみる。知柏地黄丸を用いる。

処方)1 芎帰調血飲第一加減2.5/7.5g

    柴苓湯2.5/7.5g

    知柏地黄丸2.0/10.5g   各分2 ×14日分

【第2診~】

 著効あり。一番はよく眠れること。毎晩4回の夜間排尿完全に消失。寝つきよく、朝まで一度も目が覚めることがない。「気付いたら朝」という。これにより元気向上。起床時の顔面のむくみ、頭面発汗、および夕方の顔面紅潮がなくなくなり酒さ様皮膚炎も消失。化粧のノリが良くなり、顔が一回り小さくなった感じという。顔色もこんなに色白だったのかと目を疑うほど。ほてりもほぼ消失。血圧はテルミサルタンなしで138-86。その後も良好を維持。継続服用中。

考察

 本案は、これを免疫病として解釈したことがうまくいった一番の理由であろう。「経産婦(産後)の免疫病」、あるいは「経産・未産を問わずに子宮内膜症・子宮筋腫といった婦人科疾患を持つもの免疫病」に芎帰調血飲第一加減あるいは芎帰調血飲第一加減合柴苓湯を基本に用いている。さらに症状に応じてこれに枝葉を付けて、最終的に処方を作り上げてゆく。本案は比較的複雑な病態を形成している。もうこうなると「○○病には△△湯」といったレベルではとても太刀打ちできなのではなかろうか。また、漢方理論だけでも難しいと思う。現代医学の解析を取り入れつつ、これを漢方の脈絡に落とし込むことも基本的考え方として必要と思う。

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