顎関節骨折後の頭痛・めまい
【症例51】 79歳、 女性
身長152㎝、体重42kg
主訴
2年ほど前、つまずき前のめりに転倒。その際、手より先にアゴで着地するような形、つまりアゴ先で全体重を支えるような姿勢で転倒し、結果アゴ部分を外傷、更に右顎関節を骨折した。またその衝撃で脳震盪を起こしたらしくその時の記憶はあいまいとのこと。救急搬送、3か月ほど入院し、外傷と骨折は治癒し退院。その後1年ほどして頭痛・頭暈が起こるようになった。心配になり病院CTやMRIなど検査したが全くの異常なしとのこと。頭痛は、本人いわく「右のこめかみから脳みそにしみこむような痛み」とのこと。ボルタレンは無効。発症時間帯に特に傾向はなく、突然起こり2~3時間ほど続く。終日のこともある。毎日連続しておこることもあれば一週間に一回の時もある。随伴症状はない。めまいは歩行中当然ふわふわとした感覚になり、何か物につかまらないと立っていられない。前駆症状・随伴症状はない。これらのため外出は極力控えている。
経過・結果
第1診原因として、部位的に近いことから骨折の後遺症、あるいは脳震盪後の後遺症、のふたつが考えられるが、両方とも影響していると考えるべきであろう。いずれも病理は血瘀である。活血化瘀を行う。ただし、骨折後遺症、及び脳震盪後遺症に特異的に効果を発揮する薬剤を用いる必要がある。骨折後遺症に田七、脳震盪後遺症に血府逐瘀湯、と考え両者を併用することにする。 処方1)血府逐瘀湯去桔梗加田七×7日分 血府逐瘀湯去桔梗加田七 |
第2診著効あり。頭痛・めまい、いずれも服薬以後出ていない。頭がすっきりして気分が良い。しかし、たまたまかもしれないので継続投与することにする。 処方2) do. ×7日分 |
第3診やはり頭痛・めまいいずれも起こらない。更に服用を勧めるも経済的理由にて服用中止。再発の際はすぐ連絡するようにと伝えてあるが、幸いに今のところ連絡はない。 |
考察
頭部の打撲・脳震盪後に起こった頭痛の第一選択肢に血府逐瘀湯を用いている。
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