繰り返す膀胱炎・腎盂炎
【症例99】 29歳、 女性
身長161cm、体重54㎏ 体格ふつうくらい
症例キーワード: 膀胱炎
主訴
繰り返す膀胱炎・腎盂炎。
24歳ごろから。膀胱炎は年に2~3回、腎盂炎は過去3回発症。膀胱炎の症状は頻尿・排尿痛・残尿感で、トイレを我慢したとき・疲れた時・冷えた時・汗をかいた時に好発。その都度、病院にて抗生物質を服用しているが何度も繰り返すので根本治療を希望。現在も膀胱炎を発症中。
全身症状
寒熱 | 強い冷え性 |
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二便 | 大便:1日1行 小便:1日6~7行、色黄、量少。 |
飲食 | 食欲:平 飲水:平 |
全身 | 風邪をひくと扁桃腺が腫れやすい |
浮腫 | 下肢に少し |
睡眠 | 良好 |
心神 | 良好 |
汗 | 平 |
頭 | 頭痛(−)、頭暈(−) |
目・耳・鼻 | 中学まで蓄膿症を頻発していた |
月経 | 周期(35日)、経期(6~7日)、経痛(−)、経血(平)、血塊(20mm×5個~) |
舌 | 舌質微紅、舌苔微白 |
皮膚 | 皮膚は浅黒く、肉付きは引き締まった感じ。あざができやすい。 |
経過・結果
【第1診】 細菌性の膀胱炎には痰飲型に五淋散、陰虚型に猪苓湯加山梔子を基本に用いている。後者は更に下腹痛・排尿痛・頻尿・残尿感が強い場合芍薬甘草湯あるいは四逆散を合して用いる。さらに繰り返す場合は四逆散を血府逐瘀湯に変更する。今回の場合、一貫堂の解毒症体質が基本にあるものと思われる。そこで基本体質の改善に一貫堂竜胆瀉肝湯を、現在発症している膀胱炎に血府逐瘀湯+猪苓湯加山梔子を用い、両者を併用することとする。 処方1)一貫堂竜胆瀉肝湯6.0/9.0g+血府逐瘀湯3.0/7.5g+猪苓湯4.0/6.0g+山梔子末0.5g 分2 14日分 【第2診】 処方1)服用後5日間で膀胱炎様症状ほぼ消失。尿の色が薄くなった。以後も解毒症体質改善の目的で処方1)を服用継続 処方1)do. 分2 28日分 【第3診~】 膀胱炎症状出ていない。その後も処方1)を5か月継続服用、その間一度も膀胱炎を発症せず。そこで処方1)を1日2包のところを1日1包に減薬し経過を見たところ、4か月経過した現在も発症せず、良好を維持。今後、状態を見ながら更に漸減を検討している。 |
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