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症例紹介

三人目ができない。プロラクチン値がやや高い

不妊、流産癖

【症例26】 32歳、 女性
身長160cm、体重49kg

症例キーワード: 不妊

主訴

三人目ができない。プロラクチン値がやや高い。ホルモン治療は行わず漢方のみの治療を希望。基礎体温表は、二層に分離するものの高温期への移行に数日かかり、その結果高温期が短い。

全身症状
寒熱 強い冷え性。冷えのぼせあり
二便 大便:1日1回
小便:1日5~6回
飲食 普通
全身 体力は普通
肩凝り
胃腸 特になし
月経 周期(26~28日)、経期(7日間)、月経痛(下腹痛・2日目・激痛⇒鎮痛剤使用、カイロを当てることで軽減)、経血(色:暗赤色、量:平)、血塊(少量)、初潮11歳
舌苔微白、舌質:淡、瘀点あり
皮膚 しもやけが毎年できる

経過・結果

第1診

強い冷え性、冷えのぼせ、しもやけなど「冷え」が基本にあり、強い月経痛から「血瘀」も考えられる。高プロラクラクチンはGnRH、ゴナドトロピン(FSH、LH)の分泌を抑制する。結果、今回の場合については高温期の短縮という「黄体機能不全」を思わせる症状が現われている。

「冷え」を取り除くために当帰四逆加呉茱萸生姜湯、「血瘀」を取り除くために折衝飲、これら二方を併用することとする。

処方1)当帰四逆加呉茱萸生姜湯(エキス散)6.0g/9.0g+折衝飲(エキス散)3.0/6.0g 分2×28日分

第2診

冷え性軽減、月経痛も軽くなった。朝の寝起きもよくなってきた。さらに処方1)を継続服用し、都合9か月服用後、妊娠成功。

考察

「冷え」は妊娠の大きな障害になる。ところが現代医学にはこの「冷え」という概念そのものが存在しない。したがって体を温める薬剤も現代医学には存在しない。一方、漢方医学においてはこの「冷え」を重視する。
しもやけを起こす冷え性には当帰四逆加呉茱萸生姜湯が特異的にその効果を発揮する。今回の場合、その当帰四逆加呉茱萸生姜湯と血瘀を治する折衝飲の組み合わせがうまくいった。

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