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症例紹介

不妊、流産癖。少量の子宮出血が続いている。

不妊、流産癖

【症例47】 28歳、 女性
身長149㎝、体重45㎏

症例キーワード: 不妊

主訴

不妊、流産癖。
H10年7月に一か月で、H11年9月に二か月目で、それぞれ流産している。「妊娠を安定させ、無事出産できるような漢方薬がほしい」と二回目の翌日に来局。現在まだ少量の子宮出血が続いている。

全身症状
寒熱 四肢は冷えやすく、同時に冷えのぼせもある。
二便 大便1~2日に1行、月経前は兎糞状になる。
小便1日6~8行、色・量ともに平。
飲食 食欲(平)、飲水(平)。
全身 疲れやすく、朝起きるのが毎日きつい。食後嗜眠。
浮腫 なし
睡眠 良好
心神 良好
肩こりが強く、頭痛に発展することも多い(特に月経前)。
月経 周期(28~35日)、経期(7~10日間)、経痛(月経1~2日目、下腹部、かなりきついので鎮痛剤使用)、経血は多いほう、色調はふつうくらい(と思う)。血塊は10㎜ほどのものが一回の月経で2~4個ほど出る。この血塊が出ると経痛は軽減する。排卵時に微量の出血がある。基礎体温は二相に分かれ排卵もある様子であるが、低温期が長く、高温期が短い(36.6℃前後、7~8日間くらい)。
萎黄
舌質微紅・嫩、舌苔微白。舌辺に瘀点あり。
血圧 90~50

経過・結果

第1〜7診

月経の状態(周期の延長、経痛、血塊)、舌診から血瘀、全身症状から気虚が読み取れる。治療プランとして、当面半年ほどは流産によって生じた子宮の血瘀と虚損を回復されることを主眼とし、その間は妊娠しないよう計画してもらう。虚寒を帯びる血瘀と気虚の治療を目的に処方1)芎帰調血飲第一加減+補中益気湯を用いる(H11/9/6)。

処方1)芎帰調血飲第一加減(30.0/47.0g)+補中益気湯(20.0/27.0g)×14日分×7

芎帰調血飲第一加減
桂皮1.0、茯苓3.0、芍薬3.0、桃仁3.0、牡丹皮2.0、当帰2.0、川芎2.0、白朮3.0、観地黄2.0、乾生姜2.0、甘草1.0、烏薬2.0、香附子2.0、枳実2.0、陳皮2.0、木香2.0、大棗3.0、延胡索2.0、紅花2.0、牛膝2.0、益母草2.0、蘇葉2.022味、47.0g)

補中益気湯
黄耆4.0、人参4.0、大棗3.0、甘草2.0、当帰3.0、白朮4.0、柴胡3.0、升麻1.0、陳皮2.0、乾生姜1.010味、27.0g)

第8〜13診

服用3ヶ月ほどで、経痛・血塊がなくなり、経血が鮮紅色となり、周期も30日となる。また、朝起きるのが少し楽になって来た。ただ太もも・お尻・腰の冷感が依然としてとれず、また基礎体温の高温期も依然として短い。そこで寒証を積極的に除くべく、処方2)芎帰調血飲第一加減+補中益気湯+五積散に変更する。

処方2)芎帰調血飲第一加減(20.0/47.0g)+補中益気湯(10.0/27.0g)+五積散(20.0/34.0g)×14日分×6

五積散
当帰3.0、川芎2.0、芍薬3.0、茯苓3.0、蒼朮3.0、半夏3.0、桔梗2.0、枳実1.0、陳皮2.0、乾生姜2.0、厚朴2.0、麻黄2.0、桂皮1.0、白芷1.0、大棗3.0、甘草1.016味、34.0g)

第14〜17診

3ヶ月服用した段階で、下半身の冷えは、完全には取りきれていないが去年と比較するとかなり軽くなっている。全体としても体調は非常によいとのである。そこで、当初の予定どおり、ちょうど半年が経過したところなので、妊娠解禁とし、この後も処方2)を継続服用することとした。

処方2) do. ×14日分×4

 

第18診

12/5/19妊娠したとの報告あり。そこで処方2)を中止し、処方3)紫蘇和気飲+補中益気湯に変更。H13/1/22男子(2800g)を自然分娩にて出産。

処方3)紫蘇和気飲(25.0/25.0g)+補中益気湯(20.0/27.0g)

紫蘇和気飲
蘇葉2.0、香附子4.0、陳皮3.0、大腹皮1.0、乾生姜1.0、大棗3.0、甘草1.0、当帰3.0、川芎3.0、芍薬4.010味、25.0g)

考察

 無事出産にいたるまで足掛け1年半の長きにわたる治療であった。その感動たるや漢方家冥利に尽きる思いである。
 処方1)2)3)において終始一貫、補中益気湯を使用した。補中益気湯の固摂作用を強く期待したためである。また、芎帰調血飲第一加減は虚寒を帯びる血瘀のものに多用している。補中益気湯との相性も非常によい。また「冷え」は不妊治療においては非常に大きな意味を持つと考えている。太もも・お尻・腰の辺りの虚寒には五積散が特異的に効果を発揮する。芎帰調血飲第一加減との相性もこれまた非常によい。
 処方3)紫蘇和気飲は妊娠中の安胎薬の基本であり、出産当日まで飲んでもらった。

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