高プロラクチン血症にてカバサール服用中。体外受精を試みるも失敗。
【症例30】 31歳、 女性
身長158cm、体重50kg
症例キーワード: 不妊
主訴
高プロラクチン血症にてカバサール服用中。体外受精を試みるも失敗。基礎体温表は、二相に別れ、高温期の温度も十分にあるが、途中で体温が低温層レベルまで降下することが2~3回ある。近医にて当帰芍薬約散を一年服用するも無効。子宮筋腫(−)、内膜症(−)、PCOS(−)。
全身症状
寒熱 | 手足・背中は寒く腰が非常に冷える。冷えのぼせ(−) |
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二便 | 大便1日1行。 小便1日7~8行、夜間0行、色・量(平) |
飲食 | 食欲(平)、飲水(平) |
浮腫 | なし |
睡眠 | 良好 |
汗 | 出にくい |
口 | 平 |
月経 | 周期(28~30)、経期(5日間)、経痛(1日目、下腹、鎮痛剤(+))経血(色、量ともに平)、血塊(−) |
面 | 面色萎黄 |
皮膚 | 良好 |
体型 | ぽっちゃり型 |
血圧 | 104-66 |
脈拍 | 79/分 |
経過・結果
第1~8診手足・腰の強いひえ、高温期が安定しないことなどから不妊の原因として「虚寒」が強く影響しているものと思われる。「虚寒」による不妊の治療に用いるには当帰芍薬散、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、五積散などがその代表であるが、冷えの特徴から処方1)五積散を選択した。 処方1)五積散(34g/34g) 五積散 |
第9診~処方1)を4ヶ月服用の後に妊娠。妊娠確定後は直ちに処方2)当帰芍薬散に変更し、これを出産まで服用。 処方2)当帰芍薬散(22.0g/22.0g) 当帰芍薬散 |
考察
結果として、冷えが原因の不妊と考えられる。五積散は体表部と内臓全般を同時に温める処方である。五積散の体表部の冷えには特徴がある。背中~腰にかけて寒い感覚がしてゾクゾクするのである。冬はもちろん、夏でもクーラーの冷風ですぐゾクゾクする。五積散に含まれる麻黄の薬能に由来する。同じ冷え性でも麻黄を含まない当帰芍薬散や当帰四逆加呉茱萸生姜湯はこのゾクゾクを伴う冷え性(による不妊)には対応できない。
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